コラム

訪問美容を営む株式会社MALONIC. – クラウドファンディング初挑戦で支援100万円以上を達成して得た新たな視点

現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響による営業自粛のため、多くの店舗が経営継続の危機を回避するためのクラウドファンディングに挑戦しています。

しかし、ほとんどのプロジェクトオーナーの方がこれまでクラウドファンディングに挑戦した経験はなく、プロジェクト設計をイメージするのは簡単なことではないのではないでしょうか。

そこで今回、六本木でサロンを経営しつつ高齢者向けの訪問美容を営む株式会社MALONIC.代表の榎戸氏に初挑戦のクラウドファンディングで100万円以上の支援を頂いた上での感想と気付きをお伺いしました。

■プロジェクトデータ
プロジェクト名 【カットで社会貢献】あなたのカットが高齢者へのカットにつながる
プロジェクト目的 自粛解禁後の採用費用調達
募集期間 2020年4月24日(金)〜2020年6月20日(土)
支援総額 111,000円
支援者数 67人
プロジェクトURL https://camp-fire.jp/projects/view/262822

 

自粛解禁後の訪問美容活動再開に向けて

ー株式会社MALONIC.の事業内容や訪問美容を始められた背景について教えてください。

はい、MALONICは六本木で美容室を開業して12年目になります。

また、6年前に友人に誘われボランティアで病院にカットに行ったことをきっかけに訪問美容も始めました。

訪問美容は主に高齢者施設で美容室に行けない方へのサービスとして行っており、新型コロナウイルスでの自粛がはじまる前は1ヶ月間で約70施設に伺い1500人ほどの方のカットを行っていました。

 

ークラウドファンディング挑戦に至ったきっかけや狙いについて教えてください。

現在、新型コロナウイルス感染拡大予防のため、多くの高齢者施設ではご家族を含め外部との接触を断っている状態です。

通常営業時は1施設で1ヶ月に入居者の35%の方が利用されていましたが、自粛期間中の訪問美容の依頼はほとんどなく、その売り上げはマイナス85%にまで落ち込んだんです。

4月の自粛開始当時はまず、普段からご利用してくださっていたお客様は当然自粛期間中に美容室に行くこともできないので、ぼくたちにできることは何なのかを考えYouTubeでご家族の方や施設の方が簡易的に切る方法をアップしたりしていました。

 

ー自粛期間中もお客様に対してできるできることを模索されていたんですね。

はい。それと同時に本格的に自粛が明けた際はご入居様のほとんどが利用されると予想されるため、自粛解禁後のために先行して人材確保をしなくてはいけませんでした。

自粛明けの人材確保と同時に、今回の新型コロナウイルスの影響でこれまで通りの形で営業を続けるのではなく主軸の美容を通して事業の横展開を考える必要があるということも感じ、今回のクラウドファンディング挑戦に至りました。

 

既存のお客様、新規のお客様、遠方からの応援、全ての方が触れられるように。

ープロジェクト設計にあたり、こだわった点について教えてください。

はじめてのプロジェクトだったので、本文は既に公開されている接客店舗さんのプロジェクトを参考にしてMALONICのこれまでの活動や今後の展望についてお伝えさせて頂きました。

また、今回のプロジェクトに支援してくださる方は、やはりこれまでMALONICを利用してくださった方なのではないかとイメージしました。

ぼく自身、過去に一度だけクラウドファンディングに支援をしたことがあったのですが、それが友人のプロジェクトだったからです。

プロジェクトの内容はもちろん大切かと思いますが、なにより関係性の中から支援は生まれるものなのではないかなと。

なので、これまで利用してくださった方にMALONICとしてお返しできるリターンを考えると共に、クラウドファンディングを通じて新規の方にもアプローチできるようにリターンを考えました。

既存のお客様には事前のまとめ購入となるカットチケットを。

新規のお客様には初来店の際に1回分使える割引チケットを。

遠方のお客様にはMALONICスタッフがヒアリングの上でお送りするヘアケア商品セットを。

応援してくださる方にはメッセージにてお礼を伝える、というようなリターンです。

 

ープロジェクト開始後はどのようなアプローチを行いましたか?

MALONICでは普段、予約の受付をLINEで行っていたためLINEにてお客様にご連絡しました。

また、友人に連絡してプロジェクトをみてもらったり、CAMPFIRE広告なども利用してみたのですが、一番効果が感じられたのは日頃のお客様にお送りしたLINEだったのではないかと思います。

 

初挑戦のプロジェクトで100万円の支援を達成して得た視点

ー今回のプロジェクトを通して得た気づきなどはございますか?

今回のプロジェクトの目標金額は200万としていたのですが、必達の目標ではありませんでした。

実際のイメージでは30〜50万の支援があれば十分なのではないかという感覚で想定していたので、プロジェクトが開始されてから大きくなっていく支援を見て気持ちが熱くなりました。

また、既存のお客様に向けて販売したまとめ購入のチケットは支援金額によって割引のパーセンテージが変わるように設定していたのですが、大型支援を入れてくださった普段のお客様が、割引分の金額を上乗せして支援してくださったんです。

10万円の支援で12万円分のチケットで販売したのに、12万円支援してくださる、というように。

ー支援の気持ちで割引分を上乗せしてくださるのはとても心に響く体験ですね。

はい、とてもあたたかい気持ちになりました。

クラウドファンディングでそもそも支援を頂けるのは有り難く、嬉しいことでした。
その上で、支援を頂くことで応援が数値として可視化されたのが嬉しかったです。

また、支援して頂いたお金で訪問美容のスタッフを2名増員することができました。
自粛解禁後に向けて採用費用を捻出できたので、事実上の目標は達成できたのではないかと思います。

今回はスタッフ増員のためのプロジェクトとして挑戦した上で、これまでやってこなかったチケットのまとめ買いなどを実際にしてくださる方がいるとわかったので、結果としてテストマーケティングにも繋がりました。

ー今後、プロジェクトに挑戦されるかどうか検討されている方にお伝えできることはありますか?

SNSやLINEなどで普段から接しているお客さまとの接点をもっておくことが重要だと実感しました。

今回のプロジェクトでは予約受け付け用のLINEが一番の窓口となってくれたのですが、日頃のSNS発信などで自店のファンになってくださる方との繋がりができていれば更に結果に影響していたのではないかなと。

また、今回の新型コロナウイルスの影響で、多くの接客店舗がこれまで主軸にしてきた事業と共にテイクアウトやオンライン販売などの横展開を考えるきっかけになったのではないかと思います。

接客店舗が新規オープンや新規事業開拓などでまとまった資金が必要になるときに挑戦するクラウドファンディングでは前売りチケットのようなリターンがメインになると思いますが、リターンに新たなアイディアを盛り込むことでテストマーケティングやPRも兼ねたプロジェクトとして今後に活用できるのかなと思いました。

ーありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

大堀 悟(ぼりさん)

CAMPFIRE公式キュレーションパートナーとしてプロジェクト作成なども行う取材ライター。元板前です。

同じカテゴリーの記事

more

同じタグの一覧

more