基礎知識

SDGs目標で重要な社会課題『フードロス』の現状|原因や解決策、今私たちができることとは?

「SDGsでも注目されている食品ロスって何?」
「どれだけ問題なの?原因は?」
「解決方法や、今わたしに何ができる?」

世界規模で取り組むべき課題として、SDGsが注目されています。
[SDGsとはの記事に内部リンク]

その中でも今回は「食品ロス」問題について取り上げています。

そもそも何が問題なのか?
「食品がもったいない?」
そんなレベルの話ではないんです。

この問題に向き合うために、まずは知ることから始めましょう。

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『食品ロス』はSDGsの4つの目標に当てはまる

食品ロス、フードロスとも言われる問題ですが、こちらは冒頭でも少し触れたSDGsの17ある目標のうち、複数の目標に当てはまっています。

目標2『飢餓』

まず目標2の『飢餓』に当てはまります。
食品ロス問題は、まだ食べれる食品が廃棄されているにもかかわらず、世界中には食品がなくて飢餓がある状態です。

つまり、食品ロスを少しでも改善すること、生産された食品がしっかり飢餓の地域にしっかり分配すること、そうすることで目標2に貢献することになります。

目標11『つくる責任 つかう責任』

次に目標11『つくる責任 つかう責任』に当てはまります。

この目標は衣料、エネルギーなど色々な分野での「つくる責任 つかう責任」の話ですが、もちろん食料も当てはまります。

食品ロスは食品の生産過多が最も大きな原因です。
現在日本国内では年間646万トンもの“まだ食べられる”食品が廃棄されている現状があります。
その量は国連世界食糧計画(WFP)が世界中にしている食品援助量1年分の2倍の量になると言われています。

つまり、日本で廃棄されている食料が全て廃棄せずに援助・寄付に回すことができれば、WFPの食品援助量を3倍にすることができます。
これはどう見ても​​『つくる責任 つかう責任』が取れていませんよね。

このように食品ロス問題は、『つくる責任 つかう責任』にも当てはまる問題なんです。

目標13『気候変動に具体的な対策を』

さらに目標13『気候変動に具体的な対策を』にも当てはまる問題でもあります。

というのも食品ロスは、まだ食べれるとしても廃棄されている、つまりゴミになっていることになります。
つまり食品がしっかりロスなく活用されていれば出なかったゴミが出ていることになりますよね。

ゴミを処分するためにはCO2が生成され、温暖化などの促進にも繋がっています。
めぐりめぐって環境問題にもなっているんですよね。

目標14『海の豊かさを守ろう』

加えて、目標14『海の豊かさを守ろう』にも食品ロスは当てはまります。
食品ですから、当然魚もレシピの一つとして取り込まれていますよね。

実は今、海の資源は持続的に維持できないレベルのペースで減っているんです。

1970年代から海の魚の量は減少の一途を辿っており、具体的に2021年現在は、1970年当時の49%、約半分の量しか海洋生物がいなくなってしまっているんです。
2020年現在では、世界の魚の約1/3の数が穫られ過ぎて、魚たちが減少しています。

私たちが食べる魚が減る、海の生態系が破壊されるという環境問題にまで広がっているんです。

以上のように、食品ロスはSDGsの
『目標2:飢餓』
『目標11:つくる責任 つかう責任』
『目標13:気候変動に具体的な対策を』
『目標14:海の豊かさを守ろう』
に当てはまる社会問題です。

SDGsの中でも注目される『食品ロス』の現状とは?

そんなSDGsの中でも解決すべき社会課題『食品ロス』ですが、具体的にどれくらい問題になっているのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。

SDGsの一つ『食品ロス』の現状

消費者庁の調査によると、日本のまだ食べられるのに廃棄される食品の量は、612万トンと言われています。
これは毎日大型トラック(10トン車)約1,700台分の『まだ食べられる食べ物』が、廃棄されていることになります。

想像できますか?

参考:食品ロスについて知る・学ぶ|消費者庁

さらに世界レベルで見ると、食品廃棄物の量は年間で13億トンにものぼります。
食料の生産量は毎年約40億トンのため、単純計算で生産量の約32.5%は消費されずに廃棄されていることになります。

その一方で、世界中で飢餓に苦しむ人々がいます。
2019年のデータですが、世界全体の人口割合の約8.9%、約11人に一人は飢餓に苦しんでいるという現状があります。

参考:食料ロス・廃棄の削減、食料安全保障と環境持続可能性の向上に不可欠|FAO

この状況がいかに問題になっているか、イメージできますか?

SDGsの一つ『食品ロス』の原因

では、そんな食品ロスの原因はなんなのでしょうか?
フードロスは先進国の問題というイメージを持たれる方が多いですが、実際は途上国でも発生しており、世界中での社会問題です。

原因は主に以下の6つです。

・過剰な「豊富な品揃え需要」
・高すぎる「外観品質基準」
・保存・輸送インフラの整備​​が不十分
・加工技術の未発達・未成熟
・販売経路の未熟さ
・根本的な問題意識の低さ

過剰な「豊富な品揃え需要」

まず、過剰な「豊富な品揃え需要」は食品ロスの大きな原因になっています。

スーパーやコンビニなどの小売店では、一つの良い商品ではなく、より豊富な品揃えをする店舗が好まれる傾向にあります。
皆さんも品揃えが豊富なお店を選びたくなりませんか?
それが実は食品ロスの大きな原因になっているんです。

多くの小売店では、そんなニーズを叶えるべく豊富な品揃えを維持しており、そのために多くの食品在庫をもつのが当たり前になっています。

その在庫が販売期限・消費期限までに売り切れず廃棄になってしまい、結果食品ロスを増やしているんです。

高すぎる「外観品質基準」

次に、高すぎる「外観品質基準」も食品ロスの原因です。

先進国では品質の中でも特に外観を重要視します。
スーパーに行った際に野菜や果物を買う場合、よく色や形をみて選びませんか?
特に味や品質に問題がなくても、見た目で買うかどうか決めることは多いですよね。

そのため規格が厳しく、規格外になった場合には味や栄養価、安全性が問題なくとも廃棄されてしまうことも少なくありません。
その高すぎる外観品質基準によって、フードロスが増えているんです。

このように、ビジネスとして生き残るために、フードロスが生まれてしまう風潮があります。

保存・輸送インフラの整備​​が不十分

また途上国や先進国でも田舎を中心に、「保存・輸送インフラの整備が不十分」であることが大きな食品ロスを生み出しています。

特に食料の保存・貯蔵施設や市場の設備がまだまだ不十分なケースが多いです。
貯蔵施設や市場の設備が整っていないことで、まだ買い手が着く前に消費期限を迎えてしまって食品商品が廃棄になってしまうことが非常に多くなっています。

またそもそも市場に並ぶ前に、品質を保ったまま輸送されることも難しいです。
輸送インフラに問題がなければ、腐る前にしっかり市場に流通し、市場の貯蔵・保存施設が十分であれば、品質を保った状態で消費者に届くのですが、ここが大きな課題を抱えています。

先進国では当たり前ですが、品質を保ったまま市場に流通することは難しいのが現状です。

加工技術の未発達・未成熟

さらに、「加工技術の未発達・未成熟」なことも食品ロスに直結しています。

途上国ではまだまだ食品の加工は進んでいません。
加工技術がそもそも未発達だったり、施設不足、技術者不足、経済的な課題などがあるからです。

もし仮に無加工の生鮮食品として販売・流通されているものが、保存が効く形に加工できるだけでも食品ロスは大幅に減らすことができます。
保存環境が多少過酷でも、加工ができれば腐りづらく保管しやすくなります。

上記の保存・流通インフラの整備と一緒に、食品加工の技術がより復旧することも、食品ロスの改善に効果的です。

販売経路の未熟さ

上記の「保存・輸送インフラの整備​​が不十分」「加工技術の未発達・未成熟」に加えて、販売経路の未熟さも食品ロスの大きな原因です。
これは途上国だけでなく、先進国にも大きな課題です。

途上国の場合は、いざ小売店に並んだ食品でも、販売がうまくいかず、結局は消費者に届く前に腐ってしまうケースがあります。
さらに在庫管理などもあまり質がよくないため、過剰に在庫を抱えてしまい、食品ロスをさらに発生させている可能性も。

また日本や先進国の場合も、食品の販売や飲食店の営業がうまくいかず、結果的に消費期限をすぎた食品を出してしまっています。

根本的な問題意識の低さ

そして何より大きな原因として、世界中一人ひとりの「根本的な問題意識の低さ」があります。

途上国ではどうしても生活の質が低いため、世界規模での食品ロス問題にまで注意が向いている方はまだまだ少ないです。

また先進国でもほとんどが資本主義なため、結果的に食品ロスにつながることだとしても、ビジネス上や生活上どうしても、過剰な「豊富な品揃え需要」、高すぎる「外観品質基準」などに発展してしまいます。

これは何も、悪意があって行われているわけではありませんよね。

ただ、フードロスへの問題意識が低いのが、大きな原因なんです。

SDGsの一つ『食品ロス』の解決策|政府や企業の取り組みも紹介

ここまでみてきた食品ロスですが、もちろんすでに行政府や企業が改善のための動きをしています。

 

『食品ロス』の解決施策|政府の活動

まず2021年現在で、行政府が行う『食品ロス』の解決施策は以下の3つがあります。

・消費者庁「食品ロスの削減の推進に関する法律の施行」
・環境省「ポータルサイトでの啓蒙活動」
・農林水産省「HPによる食品ロスの問題提起」

それぞれの省庁が施策の目的としているポイントは、やはり原因の中でも最も大きな「根本的な問題意識の低さ」の意識改革です。

消費者庁「食品ロスの削減の推進に関する法律の施行」

消費者庁の行う「食品ロスの削減の推進に関する法律の施行」では、

食品ロスの削減に関し、国、地方公共団体等の責務等を明らかにすること
基本方針の策定その他食品ロスの削減に関する施策の基本となる事項を定めること

を定めることで、責任の所在を明確にし、最低限のルールを設けることで、「食品廃棄問題(食品ロス)」を総合的に改善していくことを目的として、対策を行っています。

参考:食品ロスの削減の推進に関する法律

環境省「ポータルサイトでの啓蒙活動」

また、環境省では、「ポータルサイトでの啓蒙活動」を行っています。

食品ロス専門で最新情報を発信しているのはもちろん、食品ロス問題の原因である「自覚のなさ」を改善するために、コンテストやオンラインセミナーなど、様々な施策を行っています。

それぞれ、消費者・自治体・事業者など立場に合わせて情報が整理されており、あなたがどの立場の方でも、食品ロスについて学べる、向き合えるよう工夫がされています。

参考:食品ロスポータルサイト 食べ物を捨てない社会へ

サイト自体もとてもポップなので、気軽に覗いてみてください。

農林水産省「HPによる食品ロスの問題提起」

次に、農林水産省です。
こちらも最新情報の発信や、意識改革を狙ってサイトを運用しています。

特に、食品ロス削減国民運動のロゴマーク(ろすのん)は食品廃棄問題(食品ロス削減)に取り組む方なら、申請すれば誰でも利用でき、多くの飲食店やフード業界の企業が、取り組んでいる証拠に使っています。
詳しい事例が気になる方はこちら。

参考:NO-FOODLOSS PROJECT|農林水産省

また農林水産業は、映画とのタイアップなども行っています。
平成29年1月に公開された、ヨーロッパを舞台に、まだ食べられる農産物や食材を回収・調理し、一般の方に食べてもらうことで、食品ロス削減を実践し、食べ物に対する「もったいない」意識を醸成する内容の映画「0円キッチン」とタイアップしています。

参考:食品ロス・食品リサイクル:農林水産省

 

『食品ロス』の解決施策|企業の活動

次に、企業が行う『食品ロス』の解決施策です。
企業ごとに行われる活動もありますが、この食品ロス自体の改善につながるビジネスを行っている企業があるんです。

具体例を紹介します。

  

TABETE(タベテ)

『TABETE』は、まだおいしく安全に食べられるのに、店頭では売り切るのが難しい食品・食事を、お得に「レスキュー(購入)」できる【フードシェアリングサービス】です。

操作はアプリなので簡単で、消費者は近くの店舗の商品を検索し、いつもなら少し手が出ない価格帯の料理を、格安でお得に楽しめます。

そして利用するだけで、結果的に「食品ロス」の削減にも貢献できるサービスです。

TABETE(タベテ)公式サイト

 

No Food Loss(ノーフードロス)

『No Food Loss』は、食品ロス対策アプリとして誕生したサービスです。

登録されている小売店の、賞味期限・消費期限が直近の食品を割安で購入できるというアプリです。
賞味期限が近い商品が登録され、普段の半額程度で購入できるサービスです。
消費者はお得に食品を買うことができ、なにより食品ロス削減につながります。

全国のコンビニエンスストア「ポプラ」や、病院の売店など、様々な店舗で利用でき、現在も登録店舗拡大中です。

No Food Loss(ノーフードロス)公式サイト

この他にも多数のサービスが行われています。

他のフードロスに関わるサイトが気になる方は、以下の記事をご覧ください。

【フードロス対策】おいしく食品ロス削減に貢献できるサイト10選!

今、私たちができるSDGs『食品ロス』への取り組み

ここまで、行政府・企業レベルで『食品ロス』に取り組む活動を紹介しました。
では、私個人でもできることはあるのでしょうか?

もちろん、必要以上に食品を購入しないこと、上記で紹介したようなサイトを利用することで、食品ロスの改善に貢献することもできます。

それ以外にもできることとして、クラウドファンディングがあります。

SDGsの一つ『食品ロス』に有効なクラウドファンディング

クラウドファンディングとは、自分のアイディアや想いを形にし、多くの人から資金を支援してもらうサービスです。

自分一人では何をやっていいかわからない…。
行動にまでは移せない…。

そんな方は、取り組みをしている方達を支援するという形で、SDGs・食品ロス問題に貢献することもできます。
最後に、おすすめなクラウドファンディングサービスを紹介します。

 

SDGs・食品ロスに取り組める『CAMPFIRE(キャンプファイヤー)』

国内最大手のCAMPFIRE(キャンプファイヤー)は、SDGsをはじめ、様々な社会課題に立ち向かうサービスや取り組みのプロジェクトを、多数成功させています。
国内最大手ということもあり、プロジェクトの数は5.4万件以上。
ジャンルは幅広いです。
540万人以上の人から460億円以上の支援が生まれています。

CAMPFIRE(キャンプファイヤー)公式サイト

 

社会課題の解決に特化したクラウドファンディング『GoodMorning(グッドモーニング)』

またCAMPFIRE(キャンプファイヤー)グループで、特に社会課題に貢献するプロジェクトに特化したクラウドファンディング『GoodMorning(グッドモーニング)』もあります。

特にSDGsのプロジェクトも増えているので、今注目を集めています。

GoodMorning(グッドモーニング)公式サイト

まずはどちらかをチェックして、あなたが共感するプロジェクトを応援することから始めてみてはいかがでしょうか?

SDGs目標で重要な課題『食品ロス』の現状|原因や解決策、今私たちができることとは? まとめ

今回は、SDGsの中でも様々な目標に関係する「食品ロス」について解説しました。
この問題は、「誰かが解決してくれる」そんな問題ではありません。
この記事を読んだあなたが動かなければ、解決しない問題です。

少しでも貢献したいと思った方は、まずはクラウドファンディングで、プロジェクトを応援することから始めませんか?

また、食品ロス問題は、今回の記事の情報だけが全てではありません。
より詳しく知り、周りに広めることも立派な貢献です。

以下のページも合わせてチェックし、一緒に食品ロスに関して立ち向かいましょう。

食品廃棄(食品ロス)問題とは?〜本当の原因と今できる対策〜

【フードロス対策】おいしく食品ロス削減に貢献できるサイト10選!

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