基礎知識

食品廃棄(食品ロス)問題とは?〜本当の原因と今できる対策〜

食品廃棄問題

食品廃棄(食品ロス)問題とは?〜本当の原因と今できる対策〜

『食品廃棄問題(食品ロス)』

皆さんも少しは聞いたことがあるのではないでしょうか。

食べ残し、売れ残りや期限が近いなど様々な理由で、食べられるのに捨てられてしまう食品が問題視されているんです。

「具体的にどれくらいの食べ物が捨てられてるの?」

消費者庁の調査によると、日本の食品廃棄物は年間2,550万トン出されています。
このうち、まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は612万トンです。
(参考:食品ロスについて知る・学ぶ|消費者庁

なんと日本の食品ロス量は、年間600万トンを超えているんです。
もう少しイメージしやすくすると、単純計算で、毎日大型トラック(10トン車)約1,700台分の食品を廃棄していることになります。
『まだ食べれる食べ物が』です。

「そんなに食べ物が捨てられているの!?」
と驚きませんか?

今回はそんな『食品廃棄問題』『食品ロス』について解説していきます。

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今さら聞けない食品廃棄問題!食品ロスとは?

そもそも食品廃棄はなぜ問題なのでしょうか?
「無駄にしてるつもりはないけど、食べきれないから残すことはあるよ…。」
日本で生活していれば、こんなことは多々ありますよね。

この問題は何も、悪意があって食品を捨てている方がいるわけではありません。
ただ目線を世界に向けると、いかに問題なのか、気づくことができます。

まず、世界には約77億人が生活していますが、2019年時点で前年比1000万人増の約6億9000万人が飢餓に陥っていると「世界の食料安全保障と栄養の現状2019」で明らかになりました。
この5年で、約6000万人ほど増加しています。

栄養不良の人口が最も多いのは、なんと日本も含まれるアジア圏で3億8100万人。
次いでアフリカ圏の2億5000万人、中南米とカリブ海諸国の4800万人が続きます。
アジアが最も被害が多いように見えますね。

一方で割合でみると、世界中で飢餓に苦しむ人々は、世界全体の人口割合の約8.9%。
約11人に一人は飢餓に苦しんでいることになります。
この割合自体は現状維持ですが、世界全体の人口が増加傾向にあるため、絶対数自体は増えているんです。

また、地域別に見ると、最も深刻な環境なのはアフリカ。
なんと人口の19.1%が栄養不良で、約5人に一人は飢餓に苦しんでいる環境です。
栄養不良の人口が多いアジアは、割合で言うと8.3%でアフリカの1/2。
現在の増加傾向が続いてしまうと、2030年にはアフリカで飢餓に苦しむ人が世界の飢餓人口の約半数を占めることになります。

(参考:飢餓と栄養不良の増加傾向続く、2030年までに飢餓ゼロの達成が危うい状況に=国連報告書

この「飢餓問題」がある一方で、先進国を中心に、まだ食べられる食品が廃棄されている環境があります。

途上国では、貧困や気候変動など様々な理由で食料が不足している環境
先進国では過剰に生産され余ってしまった食料が廃棄される環境

このギャップが、「食品廃棄問題(食品ロス)」が社会的に大きな理由です。

「食べ物がもったいない」なんてレベルの話ではないことが分かりますね。

食品廃棄問題の原因とは?

そんな「食品廃棄問題(食品ロス)」ですが、原因はどこにあるのでしょうか?

上記でも少し触れましたが、最大の原因は、多くの人がこの問題を自覚できていない、向き合えていないことです。

日本では、小売店などでは、賞味期限を過ぎた商品は廃棄されます。
また飲食店でも失敗した料理や食べかけの料理はもちろん廃棄されます。
家庭内でも生ゴミ(食品の食べ残し)が出ない家はまずありません。

しかしこれは何も、悪意があって捨てているわけではありません。
販売会社・飲食店からすれば品質上問題が起こるリスクを考えると廃棄せざるをえませんし、家庭でも元から生ゴミにしようと食品を購入することはありませんよね。

ただ、意識に差があることが、大きな原因なんです。

冒頭でも触れましたが、数字で見てみると、日本の食品廃棄物等は年間約2,550万トン、まだ食べられるのに廃棄される食品の量はうち年間612万トンです。
日本の人口1人当たりの食品廃棄量は年間約48kgで、日本人女性の平均体重程度の量を毎年廃棄しています。

でもほとんどの方は、悪気もなく、自覚もないまま生活していますよね。
私も例外ではありません。

このギャップが、食品廃棄問題の大きな原因だと言われています。

国が取り組む食品廃棄問題の対策は?

そんな原因を持つ「食品廃棄問題(食品ロス)」に対して、現在はどんな対策が行われているのでしょうか?

2021年現在、国が取り組んでいる施策として、以下の3つの施策があります。

  • 消費者庁「食品ロスの削減の推進に関する法律の施行」
  • 農林水産省「HPによる食品ロスの問題提起」
  • 環境省「ポータルサイトでの啓蒙活動」

それぞれの省庁が施策の目的としているポイントは、やはり「意識改革」です。

消費者庁「食品ロスの削減の推進に関する法律の施行」

まず、消費者庁は「食品ロスの削減の推進に関する法律」を施行しています。
2020年5月31日に令和元年法律第19号として公布され、2020年10月1日に施行されました。

内容としては、主に以下の2つを定めることで、問題の改善に勤めています。

  • 食品ロスの削減に関し、国、地方公共団体等の責務等を明らかにすること
  • 基本方針の策定その他食品ロスの削減に関する施策の基本となる事項を定めること

また以下は、「食品ロスの削減の推進に関する法律」の前文です。

・世界には栄養不足の状態にある人々が多数存在する中で、とりわけ、大量の食料を輸入し、食料の多くを輸入に依存している我が国として、真摯に取り組むべき課題であることを明示
・食品ロスを削減していくための基本的な視点として、
①国民各層がそれぞれの立場において主体的にこの課題に取り組み、社会全体として対応していくよう、食べ物を無駄にしない意識の醸成とその定着を図っていくこと
②まだ食べることができる食品については、廃棄することなく、できるだけ食品として活用するようにしていくこと
を明記
引用:食品ロスの削減の推進に関する法律

責任の所在を明確にし、最低限のルールを設けることで、「食品廃棄問題(食品ロス)」を総合的に改善していくことを目的として、対策を行っています。

農林水産省「HPによる食品ロスの問題提起」

次に、農林水産省が行っている施策は、ホームページによる情報発信や、ロゴマークなどを活用した意識改革を狙った対策です。

最新の情報発信はもちろん、食品ロス削減国民運動のロゴマーク「ろすのん」を作成し、フードチェーン全体で「食品廃棄問題(食品ロス)」に取り組んでいくため、官民が連携して食品ロス削減に向けた国民運動を展開しています。

特に、食品ロス削減国民運動のロゴマーク(ろすのん)は食品廃棄問題(食品ロス削減)に取り組む方なら、申請すれば誰でも利用でき、多くの飲食店やフード業界の企業が、取り組んでいる証拠に使っています。

詳しい事例が気になる方はこちら。
参考:NO-FOODLOSS PROJECT|農林水産省

また農林水産省は、映画とのタイアップなども行っています。
平成29年1月に公開された、ヨーロッパを舞台に、まだ食べられる農産物や食材を回収・調理し、一般の方に食べてもらうことで、食品ロス削減を実践し、食べ物に対する「もったいない」意識を醸成する内容の映画「0円キッチン」とタイアップしています。

参考:食品ロス・食品リサイクル:農林水産省

消費者側の意識改革だけでなく、フードチェーン・食品関係企業の取り組みに関してもしっかり見える化し、「食品廃棄問題(食品ロス削減)」に取り組むことへの意識向上を行っています。

環境省「ポータルサイトでの啓蒙活動」

次に環境省では、ポータルサイトで食品ロスの問題提起を行っています。
主に、消費者・自治体・事業者に向けた情報を発信しています。

消費者向けには、
「食品ロスは、どれくらい発生しているの?」
「家庭で発生する食品ロスには、どのようなものがあるの?」
「食品ロスを減らすためにできることは?」
などの、食品ロス削減に向けて私たち消費者一人一人が主体的に取組むことの重要性を発信。

自治体向けには、
「削減目標・削減計画を検討する」
「削減の事例・取組方法を知る」
「削減のための利用可能なツール」
などの、問題解決・目標達成に向けて、自治体が消費者や事業者に働きかけを行うための情報や、国の支援情報なども紹介。

事業者向けには、
「食品ロスの発生実態を知る」
「削減目標を立てる」
「削減する」
など、食品ロスの削減に対して、事業者に求められる役割などを発信。

参考:食品ロスポータルサイト 食べ物を捨てない社会へ

他にもコンテストやオンラインセミナーなども行っています。
サイト自体もとてもポップなものになっており、情報発信という意味では、最も親しみやすい物になっています。

以上のように、国が取り組む対策は、ほとんどが原因である「食品廃棄問題(食品ロス)」を知ってもらう、自覚してもらうための施策です。
もちろん原因から考えればとても効果的ですが、短期間での食品廃棄問題(食品ロス)解決には、あまり効果が見込めていないのが正直なところ。

そこで最近注目されているのが、食品廃棄問題に立ち向かう企業・サービスです。

国だけじゃない!食品廃棄問題に立ち向かう企業・サービス

最近注目されている、「食品廃棄問題(食品ロス)」に立ち向かっている企業サービスを見ていきましょう。

今回紹介するサービスは、利用者の意識改革にとどまらず、サービスの利用行動自体が「食品廃棄問題(食品ロス)」の改善につながる仕組みを作り上げています。

食品ロス対策アプリ『No Food Loss』

まず、食品ロス対策アプリ『No Food Loss』です。

サービス概要

食品ロス対策アプリ『No Food Loss』は、登録されている小売店の、賞味期限・消費期限が直近の食品を割安で購入できるというアプリです。
全国の「ポプラ」や、病院の売店など、様々な店舗で利用でき、現在も登録店舗拡大中です。

利用者としては、普段の半額程度で食品を購入できるため、経済的にメリットが大きく、小売店側としては、廃棄予定の食品を販売できるので、在庫削減に繋がります。
そしてなにより、食品廃棄量を減らすことにつながるので、「食品廃棄問題(食品ロス)」の改善に直接つながるサービスです。

テレビ東京の番組や、ニッポン放送のラジオで紹介されたり、毎日新聞・産経新聞・日経新聞などにも掲載されるほど、注目されています。

ポータルサイト

https://www.nofoodloss.com/

フードシェアリングサービス『TABETE』

次に、すべての「食べて」を、食べ手につなぐフードシェアリングサービス『TABETE』です。

サービス概要

『TABETE』は、まだおいしく安全に食べられるのに、店頭では売り切るのが難しい食事を、お得に「レスキュー(購入)」できる【フードシェアリングサービス】です。

消費者はアプリで近くの店舗の商品を検索し、いつもなら高い料理を格安でお得に楽しめます。
一方飲食店は、普段ならロスになってしまう料理を、販売することができます。
そして結果的に、「食品ロス」の削減にも貢献できるサービスです。

例えば、つくりすぎてしまったパンやお惣菜、予約のキャンセルが出てしまった食事、食材の端材でつくったオリジナル商品など、今までは廃棄になってしまっている食品に再度付加価値を与えるサービスです。

過去には、「ガイアの夜明け」や「報道STATION」「ZIP!」などのテレビ番組から、新聞各社、多数のWebメディア掲載経験もあり、「食品廃棄問題(食品ロス)」の改善に直接つながるサービスとして、大きく注目を集めています。

ポータルサイト

TABETE|フードロス削減をねらう国内最大級のフードシェアリングサービス

ECショッピングサイト『Otameshi』

次に、お手頃価格でいい商品を買えて、ちょっぴり社会貢献もできるお買い物サイト『Otameshi』です。

サービス概要

『Otameshi』は「食品廃棄問題(食品ロス)」「衣類の廃棄」など、現代社会の問題を削減するため、食品だけにとどまらず、“商品ロス”を解決すべき課題として、サービスを展開しています。

ビジネス上、様々な理由で仕方なく廃棄されてしまう食品・商品を、メーカーから買い取りし、お手頃価格で販売しているので、お得に購入できて、「購入=商品ロスへの対策」になり、社会貢献活動への取り組みにもなっているサービスです。

ポータルサイト

https://www.otame4.jp/

「まだ使える商品が使いたい人の元に届く」仕組みをつくり、廃棄品を一つでも減らしたいという考えからできたサービスなので、ちょっとした日用品などを安く購入するだけで、社会問題に立ち向かえる仕組みです。

まとめ

今回は、社会問題として注目されている「食品廃棄問題(食品ロス)」について、

  • 具体的に何が問題なのか
  • 原因はどこにあるのか
  • 国が取り組む対策
  • 食品廃棄問題(食品ロス)に立ち向かう注目サービス

などを解説してきました。

国はもちろん、「食品廃棄問題(食品ロス)」の解決のために新しいサービスを作る民間企業など、世の中全体がこの問題への意識を持ち始めています。

そんな中で、私たち個人にできることは何があるでしょうか?

まずは、普段の生活を見直しましょう。

・食品は買いすぎていませんか?
・まだ食べれる物を捨てていませんか?

小さなことからでも、行動することに意味があります。

そしてさらに、
『うちの企業も真剣に食品廃棄問題(食品ロス)に取り組みたい!』
『食品廃棄問題(食品ロス)の解決につながるアイディアがある!』
そんな方にぜひ知って欲しいのが、クラウドファンディングです。

食品廃棄問題に立ち向かう!クラウドファンディング

クラウドファンディングは、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語で、「インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する」サービスです。

「世の中の問題をこう解決したい!」「そのためにこんなモノやサービスを作りたい!」といったアイディアや想いを持つ人が、『誰でも起案者として発信できる』仕組みで、そこに共感し「応援したい」「モノやサービスを試してみたい」と思った人は『誰でも支援者として支援できる』仕組みです。

実際に食品廃棄問題(食品ロス)対策として、過去に様々なクラウドファンディングが行われています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
①農家の食品ロスを助けたい!【Knopp.プロジェクト 第一弾】
https://camp-fire.jp/projects/view/382042

②フードロスのない世界へ。今から出来ること。未来へのバトンを繋げて行くプロジェクト
https://camp-fire.jp/projects/view/282957

③食品ロスの危機!ピンチをチャンスに変える明るいニュースを創りたい!ご支援ください
https://camp-fire.jp/projects/view/251864

少しでも実現したいアイディアがある方は、ぜひクラウドファンディングも活用してみてはいかがでしょうか?

https://camp-fire.jp/readyfor-food

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