SDGsにも取り上げられ、全世界的に注目されるフードロス。
「よく聞くけど、何が問題なの?」
「世界の話で、日本人の私にはあまり関係ない」
など、まだまだ、フードロスの原因や実際の対策に関わる情報を知っている方は少ないと思います。
そこで今回は、今更聞けないフードロスについて、定義から対策まで完全解説していきます。
少しでも興味を持ってくれたそこのあなた。
ぜひ最後まで読んでみてください。
フードロスとは?まずは定義を解説!
まず、フードロスとは?について解説していきます。
フードロスは食品廃棄ではない?
フードロスは食品廃棄同義だと勘違いされがちですが、厳密には異なります。
「フードロス・食品ロス」とは、まだ食べられるはずの食品を廃棄してしまうことです。
そのため、すでに腐っているものや、例えば魚や肉の骨、果物の皮など、もともと廃棄する食品は廃棄してもフードロスとは異なります。
あくまで「食べられるはずのもの」が大量に廃棄されていることが問題となっているのが、フードロス問題です。
フードロスは世界で注目されている?
そんなフードロスですが、世界的にどれくらい注目されているのでしょうか?
フードロスは、Sustainable Development Goals、通称SDGs「持続可能な開発目標」の目標12「つくる責任つかう責任」として定義されています。
SDGsとは、国連加盟193か国が2016年から2030年の間で達成するべき目標として、世界的な社会課題をピックアップしているモノで、2015年9月の国連サミットで採択されました。
その中で、フードロスは「2030年までに小売・消費レベルにおける『世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減』させ、『収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少』させる」と、目標が示されています。
(参考:外務省|SDGsとは)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
「小売・消費レベル」での目標も盛りこまれているので、私たち一人ひとりの意識の変化や行動も、改善していくべき課題の一つとなっているんです。
文字通り世界的に取り組むべき課題なのがわかりますね。
フードロスはどれくらい発生しているのか?
では、フードロスはどれくらいの量、発生しているのでしょうか?
まず、世界レベルでみていきましょう。
世界的な食品廃棄物の量は、年間で13億トンにものぼります。
食料の生産量は毎年約40億トンのため、単純計算で生産量の約32.5%は消費されずに廃棄されていることになります。
一方日本では、消費者庁の調査によると、食品廃棄物は年間2,550万トン、フードロスは612万トンと言われています。
(参考:食品ロスについて知る・学ぶ|消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/
国民1人あたりに換算すると、お茶碗約1杯分が「毎日」廃棄されていることになります。
フードロスはなぜ問題なのか?
では、フードロスはなぜ問題なのでしょうか。
「もったいないから?」
もちろんそれもありますが、フードロスの本当の問題は2つ。
「食べ物の不平等」と「環境に対する悪影響」です。
食べ物の不平等
まず、世界的に貧富の差があることから、「食べ物の不平等」が起きていることが問題です。
2019年最新のデータによると、世界中で飢餓に苦しむ人々は、世界全体の人口割合の約8.9%。
約11人に一人は飢餓に苦しんでいるという現状があります。
そんな飢餓に苦しむ方達に援助される食糧の量は、年間約400万トン。
一方で日本ではその約1.5倍以上の量が、フードロスとして廃棄されています。
必要なところに行き渡っていないのに、ある場所ではまだ食べられる食品が捨てられている。
このギャップが大きな問題なんです。
環境に対する悪影響
さらに、もったいないという話にもつながりますが、フードロスは環境に対する悪影響も引き起こしています。
まず、食品の生産には、水や土地などの膨大な資源が使われています。
その食品を廃棄することは、それらの資源を無駄にすることになります。
具体的には、世界で利用される水のうち、約70%が食べ物を生産するために使われています。また、捨てられてしまう食料を生産するために、世界の農地の30%近くが使われているという報告もあります。
フードロスは、そんな地球の資源をも、無駄にしているんです。
そして、大量の食品を廃棄するためにも、大量の資源が使われています。
そして、食料廃棄は焼却や埋め立てで行われるため、少なからず環境汚染につながっています。
具体的には、食料廃棄の過程で発生した温室効果ガス量(二酸化炭素換算)は、世界の温室効果ガス排出量の8%を排出しています。
参考:食料ロス・廃棄の削減、食料安全保障と環境持続可能性の向上に不可欠|FAO
http://www.fao.org/japan/news/detail/jp/c/1310810/
このようにフードロスが、地球温暖化をはじめ、様々な環境への悪影響を起こしていることは否めません。
飢餓問題だけでなく、持続可能な環境を維持するためにも、フードロスは世界全体で取り組まなければいけない問題なんです。
フードロスは英語ではない?
ちなみに、日本では「フードロス」と呼ばれていますが、実はこれは正確な英語ではありません。
FAO(国際連合食糧農業機関)の公式サイトには「Food Loss and Food Waste(食品廃棄物)」という言葉が使われています。
Food LossのLossは「損失」というニュアンスが強いため、英語の意味としては、消費者のもとに届く前の過程で生じる損失を指すことが一般的です。
一方で、日本語で呼ばれる「フードロス」は、上記で解説した通り、食べ残しなどのまだ食べられる物の廃棄のため、Food Wasteの方がニュアンスは近いです。
ただ実際にデータ収集する上では、LossとWasteを完全に分けて測ることが難しいため、海外のデータでは、まとめて「Food Loss and Waste」と呼ばれています。
「フードロスはどれくらい発生しているのか?」でみた数字も、世界のデータはFood Loss and Food Wasteの数字になるので、注意してください。
「フードロス」を世界的にみる場合は、言葉の違いに注意しましょう。
フードロスが起こる原因とは?
ここまで、フードロスとは?について解説してきました。
ここからは、フードロスの原因について解説していきます。
ちなみに、フードロスは先進国などの課題というイメージを持たれる方も多いですが、実際は途上国でも発生しています。
今回は、先進国・途上国に分けて、解説していきます。
フードロスの原因【先進国の場合】
まず、先進国のフードロスの原因をみていきます。
先進国におけるフードロスの根本的な原因は『問題意識の低さ』と『豊富な品揃え需要』、『高い外観品質基準』です。
問題意識の低さ
まず、先進国では、フードロスに対する問題意識の低さがあります。
まだ食べられるけど味が落ちる「賞味期限」を過ぎた商品は、品質の問題から廃棄されます。また飲食店でも、失敗した料理や食べかけの料理は廃棄です。
これは何も、悪意があって行われているわけではありません。
販売会社・飲食店からすれば品質上問題が起こるリスクは避けるべきですし、常に品揃えや在庫がぎりぎりよりは、余裕がある状態が理想的です。
ただ、フードロスへの問題意識が低いのが、大きな原因なんです。
豊富な品揃え需要
また、スーパーやコンビニなどの小売店では、一つの良い商品ではなく、より豊富な品揃えをする店舗が好まれる傾向にあります。
そのため、多くの小売店では、豊富な品揃えを維持するために、多くの食品在庫を持っています。
そのため、販売期限内に売り切れない食品が増え、結果的にフードロスを増やしている現状があります。
高い外観品質基準
また、国にもよりますが、先進国では品質の中で外観をかなり重要視します。
野菜や果物などは、品質に問題がなくても、見た目が規格外の場合廃棄されることも少なくありません。
その高すぎる外観品質基準によって、フードロスが増えているんです。
見た目は規格外品であっても、味や栄養価、安全性には問題がないことがほとんどなのですが、先進国ではそれが廃棄されてしまう現状があります。
このように、ビジネスとして生き残るために、フードロスが生まれてしまう風潮があるのが、先進国です。次に途上国の場合もみていきましょう。
フードロスの原因【途上国の場合】
次に、途上国のフードロスの原因をみていきます。
途上国は先進国と異なり、消費者のロスは極端に少なくなります。
ただ、食品販売における『加工技術の未発達』『インフラの未整備』『販売システムの未発達』などが原因で、フードロスが生じています。
加工技術の未発達
まず、我々日本人では当たり前に目にする加工食品ですが、途上国ではほとんど見られません。
途上国で生産された食物の多くは、無加工の生鮮食品として販売・流通されています。
なぜかと言うと、加工技術がまだまだ未発達だったり、加工施設が不足しているから。
加工すれば消費期限が伸び、ある程度の環境でも腐りづらく保管しやすくなります。
ですがそもそも加工ができず、保管が難しく、腐りやすい生鮮食品が多くなってしまうのが現状です。
そのため、せっかく生産した食品がフードロスになってしまっている現状があります。
インフラの未整備
また加工技術同様に、食料の貯蔵施設や市場インフラなどの整備がまだまだ不十分なこともあげられます。
加工できずとも、貯蔵施設や流通インフラに問題がなければ、腐る前にしっかり消費者に届くのですが、貯蔵や輸送などのインフラも行き届いていない現状があります。
そのため、品質を保ったまま市場に流通するのが難しく、小売店に届くまでに悪くなってしまい、フードロスに繋がっています。
販売システムの未発達
そして、販売システムの未発達です。
上記2つを乗り越えて小売店に並んだ食品も、管理状態の問題や、在庫管理がしっかりされていないと、結局は消費者に届く前に腐ってしまいます。
日本などの小売店では当たり前の在庫管理システムなどは、まだまだ整備されていないので、多くの小売店で、少なからず在庫過多により、フードロスに繋がっています。
途上国では、自分たちの生活で発生するフードロスは極端に少ないですが、一方で、ビジネス面でのフードロスが大きな原因になっています。
途上国に関しては、特に政府が主体となり生産から流通のインフラを整備などの対策をしていく必要があります。
フードロスへの具体的な対策
ここまでで、フードロスの原因を解説してきました。
そんな原因に対策を施し、少しでもフードロスを改善していこうという動きが世界中で行われています。
世界と日本のフードロス対策を、それぞれ見ていきましょう。
世界中のフードロス対策
フランスのフードロス対策
2016年、フランスでは、スーパーマーケットの売れ残り食品を、寄付や飼料に転用することが義務付けされました。
つまりフランスのスーパーでは、食品を廃棄することが法律で禁止されたことになります。
法律なので、もちろん違反した場合は罰則があります。
日本円で約1,000万円の罰金、もしくは懲役2年が課せられます。
罰則の重さから、かなり本気度が高いことがわかりますね。
また、EU全体でのフードロスにも注目し、この法案をEU全体に適応させるため、フランス地方議員の1人が、EU各国から74万人分の署名を集めたという話も話題になりました。
以上のように、フランスはフードロス削減に対して、世界で最も動き出しが早かった国と言われており、現在もフードロスに取り組み続けています。
オーストラリアのフードロス対策
オーストラリアでは、2017年に斬新なスーパーマーケットが誕生し、注目を集めました。
シドニーのスーパーマーケット「OzHarvest Market(https://www.ozharvest.org/ozharvest-market-waterloo/)」では、賞味期限や形が綺麗ではない、いわゆる品質には問題ないけども規格外品になり、廃棄予定の食料ばかりを集めて販売しています。
そしてOzHarvest Marketの最大の特徴は、その食品に値札が付いていないこと。
買い手が値段を決めることができ、普通よりも安く買うことができる仕組みです。
なお、オーストラリアのフードロスも、年間400万トンもの食料が廃棄されている現状があり、問題を少しでも改善する試みの一環として、慈善事業団体により運営されています。
イギリスのフードロス対策
イギリスでは、国に止まらないフードロス対策が行われています。
2015年にロンドンでリリースされたアプリ「OLIO(https://olioex.com/)」は、ユーザー同士で食品を「おすそわけ」できるアプリです。
それだけ?と思うかもしれませんが、注目なのは、利用者が個人だけではないところ。
地元の企業や食品店なども利用しており、在庫過多な食品や売れ残りは、廃棄せずに必要な人に届けられる仕組みとなっています。
50カ国以上、180万人以上のユーザーが登録しており、イギリス発ではありますが、アメリカやスウェーデンなどでも活用されています。
以上のように、世界中で様々なフードロス対策が行われています。
日本のフードロス対策
次に、日本では、主に『国主導の対策』と『ビジネス主導の対策』が行われています。
国主導の対策
まず、日本は国が国民の意識改革を行うべく、情報発信や法律などの整備を主に行っています。
・農林水産省「HPによるフードロスの問題提起」
・環境省「ポータルサイトでの啓蒙活動」
・消費者庁「フードロスの削減の推進に関する法律の施行」
農林水産省は、フードロスに取り組む企業・個人なら誰でも使える食品ロス削減国民運動のロゴマーク「ろすのん」を作成しています。
ロゴマークの活用や、映画とのタイアップなども行い、国民の意識改革を行っています。
参考:NO-FOODLOSS PROJECT|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227.html
また環境省では、ポップなポータルサイトを使って情報発信を行っています。
特にフードロスに取り組む消費者・自治体・事業者などの立場ごとに合わせた情報発信を行っており、どんな立場の人でも取り組める対策などを発信しています。
環境省は、フードロスに少しでも国民に興味を持ってもらえるように取り組んでいます。
参考:食品ロスポータルサイト 食べ物を捨てない社会へ
https://www.env.go.jp/recycle/foodloss/index.html
また消費者庁は、サイト運営だけでなく、フードロスの削減の推進に関する法律の施行なども行っています。
しっかりとフードロスの責任を明確にし、最低限のルールを設けることで、意識だけでなく「フードロス問題」そのものを改善していくために、対策を行っています。
参考:食品ロスの削減の推進に関する法律
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/promote/
なお、詳しくは以下のページで解説しています。
ビジネス主導の対策
また、ビジネスとして、フードロスの改善に貢献できるサービスも増えています。
例えば、小売店のロスが近い食品を割安で販売し、利用するだけで少しでもフードロスを減らせるアプリ『No Food Loss』や、飲食店で品質には問題ないければ様々な理由で、廃棄になってしまう料理を救出できる『TABETE』というフードシェアリングサービスなどです。
利用者からすれば、半額などの格安で食べ物が購入できてお得ですし、お店側からしたらせっかくの商品を廃棄しなくて済みます。
そして結果的にフードロスを減らすことにつながるんです。
そんなフードロス対策にもなるサービスは、他にもたくさんあります。
以下のページで詳しく紹介しているので、気になる方はこちらも参考にしてください。
これからフードロス対策に取り組みたい方へ
上記で解説したように、世界ではもちろん、日本でも国だけにとどまらず、様々な形でフードロスを減らそうという仕組み・サービスが誕生しています。
もしみなさんが少しでも『フードロス問題に向き合いたい』と思ってくれたのなら、まずは上記のサービスを利用したり、必要以上に食べ物を購入するのを控えるところから始めてみましょう。
「もっと本気で取り組みたい!」
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「大分ピクルス」で食品ロス削減に貢献したい!|https://camp-fire.jp/projects/view/387005
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