コラム

「どんな動機でもいい」リバ邸・片倉廉が”小さな挑戦”に伴走する理由

2012年から始まった「リバ邸」プロジェクトはもはや8年目に突入。これまでに55軒の「リバ邸」がスタートし、今や単なるシェアハウスにとどまらず、集まる人たちが一つのコミュニティを形成し、その場すらをも楽しむシーンが増えている。リバ邸は2018年に法人化し「株式会社リバ邸」に。代表を務める片倉 廉(かたくら れん)氏に、リバ邸への思いや、これまでの軌跡を語ってもらった。

友達をつくるように、リバ邸をつくる

――スタートから8年を迎えたリバ邸プロジェクトですが、代表として心がけていることはありますか?
片倉:僕が代表になってからは、「友達をつくるようにリバ邸をつくる」ということをコンセプトにしています。どういうことかというと、リバ邸は単なるシェアハウスではなく、何か目的があって場を持ちたい人たちのサポート、伴走者でありたいと思っているんですね。資金面だけでなく、リバ邸にする物件の契約や、クラウドファンディングを一緒にやったりといった何らかのコミュニティ、「場」を持ちたい人を伴走するのが僕のコンセプトであり、やりたいことでもあります。

――なるほど。住むだけでなく、コミュニティだけに参加することも可能だったりするのでしょうか。
片倉:はい、可能です。メインとなる住人のほかに、月10日だけ住む準住人とか、イベントに来るだけの人もいますし、利用頻度や目的に応じてグラデーションをつけた利用プランを設定しています。

――片倉さん自身もクラウドファンディングを経験されているんですよね?
片倉:そうです。リバ邸100軒つくる、というのが最終目標でして、株式会社リバ邸が実施したプロジェクト合計360万円が集まりました。リバ邸関係者が実施したプロジェクトは累計2,200万円を超えます。

――なぜその目標を作られたのでしょうか?
片倉:居場所ってどんな人にも必要で、でもできることなら居場所がないとやってられない世の中じゃなくなるのが理想だと思ってて。いつか、リバ邸のような場所も必要なくなるような世の中になってったほうがいいと思ってます。でも、そんな未来はまだなかなか来そうにない。だからいまはまだ、居場所はあればあるだけいい。そう思って100軒を掲げてます。あ、でも正直なところ「リバ邸100軒つくるって言ったらモテそうかな」と思ったのもありました(笑)

こうして公私混同しながら真面目に取り組んだ結果、法人化した時は15軒だったリバ邸も1年半で53軒まで増やすことができました。結果的に幸せな人たちも増やすことができたと自負しています。

――それ以前はどんなお仕事をされていましたか?
片倉:ガールズバーを経営していたので、コミュニティにはずっと触れている。なので正直そういった場作りが好きなんですよね。水商売ってどうしても「お金の切れ目は縁の切れ目」という面は捨てきれないんです。結果的に僕のそのガールズバー事業は失敗してしまいましたし、そうしたら人とのつながりもなくなってまって。そうしたら途端に自分の居場所がなくなったように感じて、そういうビジネスはもうやりたくないなと。リバ邸ならシェアハウスもあるし利益も出せる。そう確信があって取り組み始めました。20歳の時でした。

どんな動機でもいいから、小さな声を拾っていきたい。

――法人化前後で大変なことはありましたか。
片倉:もちろんゼロではなかったですよ。法人化する以前はシェアハウス同士のリーダーがいなかったので、横のつながりが薄く、いわば冷戦状態。でもせっかくコミュニティをつくるための場で、それは本質的ではない。

何とかしようと思って、自分が代表になれば変えられるかもしれない、と。それまでは個人が自由に立ち上げていたので、こうなったら代表になるには実績を出すしかない、と思いまして。自分ですぐに10軒立ち上げました。法人化するまでは全部で15軒でしたから、約7割くらいは僕が立ち上げた物件ということになりますね。

――立ち上げで大切にしていることがあれば教えてください。
片倉:僕が大事にしているのは、自主性です。コミュニティ運営に関して、僕はあれこれと細かく口は出しません。ただ「やりたい」というだけの人と、「やりたい」と言って動ける人は結構違いますからね。ただ、初動は僕から声はかけるようにはしています。Twitterでナンパしたりとか。フォロワーが多くて面白い人に声をかけるようにしていますね。

何かをせっかく本気でやられているんだったら、オフラインのコミュニティも必要ですから。本気でマーケティングなどを考えている方であれば、すぐに理解してもらえます。

――最近出会ったおもしろいリバ邸の管理人さんがいれば教えてください。
片倉:アフリカから帰ってきた慶応ボーイの阿部くんがいます(笑) まだ21歳なんですけど、現地のベンチャーでインターンしてから帰国して、リバ邸を立ち上げてもらいました。アフリカってそもそも行くのがハードルが高いと思うんです。それに現地のコミュニティにつながっていないと、行っても生きづらいらしいんですよ。だから、日本とアフリカのハブになる場所を作りたいというのが彼の意気込み。結果的にアフリカコミュニティにつながりはできて、本来普通に生きていたら出会わない人達と僕もつながることができました。一緒に管理人に育ててもらっている感じがしますね。

――管理人になると何か特典もあるのでしょうか。
片倉:はい。フランチャイズオーナーの場合もありますし、家賃を値下げしたりといった特典を設けています。

――最近注目のプロジェクトはありますか。
片倉:「リバ邸ヤンキープロジェクト」というのをやっています。ヤンキーインターンという中卒高卒向けのインターンの卒業生たちでリバ邸をつくるというプロジェクトなんです。

「ヤンキー」と名前はついていますが、オラオラ系が住むというわけではありません(笑)。非大卒者の、何かやりたい、でも方法や手段が分からない、という若者たちを対象にしています。有名大学を出ていればともかく、そうじゃないとビジネスや事業を始める上でのコネクションがないことも多いし、相談する相手すら分からない、ということも少なくありませんから。どちらかというと、そういうある意味社会的マイノリティかもしれない人達に、いろいろなビジネスや今後やりたいことに挑戦していってもらってほしい。そのためのリバ邸の資金を集めたいという感じでしょうか。

――社会的にも意義があるプロジェクトですね。最後に、片倉さんから見て、どんな管理人さんが頼もしいと感じられますか?
片倉:まず僕と友達になってもらいたいですね! その上でこの子できるなとか、スピード感あるなとか。やる子ってパパっと動いてパパっと始めるという特徴があると思っています。僕自身は場を持ちたい人とすごくつながりたい意欲があるんですよ。どんな動機でもいいから、小さな声を拾っていきたい。なので、クラウドファンディング一つとっても”500万円調達したプロジェクト1つ”より、50万円のプロジェクトを10個作りたいと思っています。そんな小さな挑戦に伴走していきたいですね。

――なるほど。片倉さんにもしコンタクトを取りたいと思う人がいたら、どうすればよいでしょうか?
片倉:僕は基本的に誰でも会います。Twitterでも、イベントで話しかけるでもOKです。会社に直接電話してきてもいいですよ(笑)。なんでもOK、まずは興味本位でも構いません。どんどん連絡してきてください。僕自身、どんどん新しい人たちと出会っていきたいと考えています。

僕、実はめちゃくちゃさびしがりやで、常に人といたいと思う人間なんですよ。なので、自分もリバ邸みたいなシェアハウスに住んで、生活音があるとすごく安心して安らぐし、性にあっているんですよね。だから、僕と似たような人に「リバ邸と出会えて幸せ」と言われたら本当にうれしいですし、どんどんそういう人を生み出して、つながっていけたら最高ですね。



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