基礎知識

PR TIMESに聞く、クラウドファンディングを成功に導くプレスリリース有効活用法

クラウドファンディングの実施を多くの人へ周知する時、どのような手段を思い浮かべるだろうか?

多くの場合、コーポレートサイトへの掲載、SNSへの発信、のみで終わってしまうケースが散見されるように思える。ところが、それ以外にも周知手段として“プレスリリースの活用”があるのだ。そこで今回、国内シェアNo.1、月間1万4000本を超えるプレスリリースが集まるプラットフォーム「PR TIMES」のアカウントプランナー・森瑛美さんから、プレスリリースの活用ポイントについて話を伺う。

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プレスリリースは近年変わりつつある?

そもそもプレスリリースとは、「企業・団体とメディア(報道関係者)を繋ぐ文書」を指す。メディア各位に向けて、経営に関わるニュース、新商品・新サービスの発表などの情報を生活者に届けてほしい、とお願いする手紙をイメージすると分かりやすいかもしれない。しかし、近年、そのプレスリリースが少しずつ変化しているという。

これまでは「企業・団体→メディア→生活者」の順に情報伝達をしていたが、現在は「企業・団体→生活者」というように直接生活者へ企業・団体の情報伝達が可能となってきた。なぜ、このような変化が起こったのか。その一つに「PR TIMES」の存在が大きく関係している。

国内最大級のプレスリリースプラットフォーム「PR TIMES」とは

PR TIMESは2007年にサービスが開始された国内シェアNo.1のプレスリリース配信サービスだ。
プレスリリース本数は月間14,000本を超え、PV数は月間2,000万以上である。どちらも国内最多の数値を誇っており、日本企業・団体が最も利用し、日本国内で最も閲覧されるプレスリリースサイトとなっている。日本国内大手企業からグローバル企業、スタートアップ企業まで幅広く活用しているサービスなのだ。

そして、ここまで数多くの企業がPR TIMESを支持するのには、3つの機能の存在があるからだ。

PR TIMESにプレスリリースを掲載する機能
プレスリリースの情報をPR TIMES上に期間を設けることなく、半永久的に掲載し続けられる機能だ。多くのメディア関係者・生活者がPR TIMESを利用し、プレスリリースを閲覧しているため、検索エンジンでの上位表示やSNSでの拡散が見込める。プレスリリースを通じたステークホルダーとの接点拡大の可能性を秘めているのは、PR TIMESでプレスリリースを掲載するメリットでもある。

プレスリリース配信機能
PR TIMESを利用しているメディア約12,000媒体の中から300媒体を自由に選定し、プレスリリースの情報を届けることが可能だ。さらに、PR TIMESに登録しているメディア関係者(記者・編集者)約16,000名に電子メールでの配信も可能になっている。
マスメディア、WEBメディア問わず選定が可能なため、プレスリリースに適したジャンル、今後関係性を構築していきたいメディア(メディア関係者)へリーチが見込める。

プレスリリース掲載機能
PR TIMESのパートナーメディア(全国紙/通信社、大手ポータルサイト)、計192媒体 (2019/9/13時点)の中から20媒体以上にプレスリリースの原文が掲載される。
プレスリリースの内容を原文のまま、様々なメディアに掲載されることで、PR TIMESを利用していない生活者からの認知が獲得できる可能性もある。より検索流入やSNS拡散が見込め、多くの人に情報を触れてもらうことが可能だ。

クラウドファンディング実施者がプレスリリースを活用する7つのポイント

そんなPR TIMESでは、プレスリリースの利用企業・団体数は30,000を超え、現在も増え続けている。そして、近年ではクラウドファンディング実施者のプレスリリース活用が徐々に増えているのだそう。

一方、まだまだ活用しきれていない部分もあるとアカウントプランナーの森さんは述べた。
そこで、どのようにプレスリリースを活用していけば良いのか伺ったところ、7つのポイントを教えてくれた。

1. 生活者をターゲットにする
「プレスリリースを書く際には、生活者をターゲットに意識してみてください」

冒頭で説明したプレスリリースの情報伝達の順番でもあるように、「企業・団体→メディア→生活者」「企業・団体→生活者」どちらも最終的には生活者に情報を届けることが目的。メディアも最終的には読者(生活者)が欲しいと思うネタを探している。

また、現在、PR TIMESを閲覧するユーザーの7割がスマートフォン、3割がPCからの流入だ。
商品やサービスを利用してくれる人・利用してほしい人を思い浮かべながら、第三者の目線で書くことで、メディアにも生活者にも伝わるプレスリリースが完成する。

2. 社会的な側面を見せる
「資金調達をしたい商品やサービスの“社会的側面”をリリース文に取り入れることが重要です」

生活者にとって身近な存在として捉えてもらえるような文脈にすることで、興味を持ってもらいやすくなるという。多くの生活者は、生活で身近な商品・サービスや、自分の趣味嗜好に関わる情報に対して、興味関心を抱く。その中でも一定数誰でも興味関心を抱きやすいのが社会的な側面だ。

「その商品・サービスを利用したらどのように生活が豊かになるか、良いことが起こるのか」をリリース文で見せていく必要がある。特に、WEBサービスなどをクラウドファンディングで資金調達する場合はプロダクトの現物がないため、画像や動画の共有が難しくイメージが湧きづらい。生活者がサービスを使った先の変化や状況が思い浮かぶような文章・イメージ図(写真・動画)を盛り込むなど、より一層工夫が必要だという。

3. 想いが伝わる構成を意識する
「単調な説明文になってしまうプレスリリースは、クラウドファンディングで資金調達をする上では極力控えましょう」

商品・サービスを生み出すキッカケとして、何かしらの想いや想いが芽生える理由がある。その理由が何かしら自分の生活や社会に密着しているはずだからこそ、社会的側面も見せやすくなってくるという。また、想いが伝わることで、プレスリリース読者のアクションを起こす引き金的な要素も秘めているのだ。

例えば、定型文ではなくポエムのようなオリジナリティのある文章や、誰がどんな想いで商品・サービスを作っているのかの説明、作り手のコメントなどをプレスリリースの中に織り交ぜることが良いだろう。

4. コンテンツはフルに活用する
「プレスリリースは文章だけで終わらず、写真や動画などのコンテンツをフルに活用することを意識してみましょう」

実際、文中に画像が1枚のプレスリリースと、画像が9枚のプレスリリースだと、画像9枚のプレスリリースの方が読了率が1.7倍も上回るのだという。最後まで読んでもらいやすくなるのだ。前述したように、多くの読者が生活者だ。プレスリリースという意識はなく、一つの記事として読んでいる人も多い。だからこそ、文章・画像・動画などの活用は重要な要素になるだろう。

PR TIMESでは、画像を最大20点アップロードができたり大きさや位置を自由に変更できる。映える写真や、商品・サービスが理解しやすい写真の掲載を意識しよう。また、YouTubeやUstreamなどにアップロードした動画の掲載もできる。動画はより商品・サービスの世界観を伝えやすくなるため、作っているようであれば掲載をオススメする。

5. ファーストビューにこだわる
「プレスリリースを読むとき、最初に目に入ってくる部分をこだわって作り込むことで、読み進める率が上がります」

こだわるポイントとしては「タイトル」「リード文」「画像」だ。

タイトルは最初の興味を惹く上で非常に重要である。特に前半の20文字で、プレスリリースの内容が何となく理解できるようなタイトルをつけよう。そうすることでクリック率が上がる可能性がある。リード文は長くなり過ぎず、2~3行で収めることがポイントだ。そのため、リード文に長く企業情報などを記載する必要はない。5W1Hを明確にし、タイトルで伝えたニュース性を端的に伝えることを意識しよう。リード文が長くなってしまうと、次に表示される画像が全く見えない状態になる。画像が見切れることでスクロールの動機をつくることができるのだ。

そして、画像はスクロールしたいと思わせるような、プレスリリースの中でもメインとなる画像を掲載すると良い。これらを意識することで、タイトル、リード文、画像の一部というファーストビューが出来上がる。スクロールの動機づくりになる一方で、万が一、ファーストビューで離脱されても、一定の情報をユーザーに伝えることができるのだ。

6. 資金調達スタートのタイミングで掲載する
「プレスリリースの掲載タイミングは、クラウドファンディングスタートのタイミング、もしくはクラウドファンディング実施中のタイミングが良いです」

ポイントは、クラウドファンディングページのURLが生きているタイミングにプレスリリースを打ち出すことだ。開始前、終了時などクラウドファンディング中でないと、プレスリリースを読んだあと読者は何のアクションも起こすことができない。
そのため、実施中に、特に盛り上がっているであろう前半にプレスリリースが打ち出せるよう準備しておこう。鮮度の高い情報の方が、読者にとっても有用な情報として認識してもらいやすい。
メディア側としても同様なので、クラウドファンディング開始のタイミングと合わせることを意識してみよう。

7. ネクストアクションをつくる
「クラウドファンディングのネクストアクションをつくったタイミングでプレスリリースを活用することで、より多くの注目を集められるかもしれません」

現在、クラウドファンディングのユーザーは、クラウドファンディング開始のプレスリリースを打ち出すだけで終わることが多いようだ。そうでなく、ネクストアクションとしてプレスリリースを活用することが重要だという。複数のプレスリリースを打ち出すことで、一本目で届かなかった読者へ届ける可能性がある。そして、企業・団体の動きが分かることで、クラウドファンディングの失敗成功問わず注目を集めることが見込める。

また、クラウドファンディングに成功した商品・サービスであれば、開発の動向や正式リリースのタイミングでプレスリリースを打ち出す。クラウドファンディングに失敗した商品・サービスであれば、再度クラウドファンディングに挑戦するタイミングや、クラウドファンディングだけに頼らず資金調達をしたタイミングでプレスリリースを打ち出す。資金調達に失敗しても成功しても、結果と感謝をプレスリリースとして掲載するだけでも、印象が変わってくるのだ。

PR TIMESが選ぶクラウドファンディングのプレスリリース好事例

クラウドファンディングのプレスリリースの中で最近特に良いと感じた事例を伺うと、森さんは「株式会社ウーリー」を挙げてくれた。

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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000042295.html

「CULTURE BANK/カルチャーバンク」ヴィンテージメガネの再生プロジェクトとして、クラウドファンディングで支援を募った企業だ。2019年8月6日からクラウドファンディングをスタートさせ、わずか10時間で目標金額達成。8月29日には達成率約2,300%を記録している。

そんな同社は上記に記載した活用ポイントをほぼ網羅していると述べ、以下の点において高く評価していた。

◇ “現存する文化資産を正しく伝え、次世代につないでいくこと”を目的にしている社会的側面と、作り手の想いが文章の中でしっかりと感じ取れる点
◇ 質の高い写真や開発現場の写真を多用することで、どんな商品・サービスなのかや、作り手のこだわりが理解できる点
◇ 資金調達スタート前、目標金額達成時、ネクストアクション実施時にプレスリリースを打ち出している点

特に、ネクストアクションというのが、実店舗でメガネの試着会開催だったのがポイントだ。クラウドファンディングを終了していないタイミングにも関わらず、クラウドファンディング実施中にユーザーから聞いた「試着したい」という声を拾い上げて、試着会の開催が決定したのだ。現物を触る機会を多くの人に提供することで、商品の価値をより一層届けることができる。

さらに、プレスリリースで発信することにより、出資者やまだ支援に悩んでいる人、そもそもクラウドファンディングを知らない人へも情報が行き渡らせることが可能だ。商品だけでなく、プレスリリースにもこだわり抜いた事例だということが理解できる。

クラウドファンディング実施者がPR TIMESを利用するメリット

徐々にプレスリリースを活用するクラウドファンディングユーザーが増えているが、PR TIMESを利用してプレスリリースを打ち出すことで、どのようなメリットを持つのか最後に伺った。

「リーチを広げ、クラウドファンディングに興味のない方にも届けられるのがメリットだと感じます。
クラウドファンディングのサービス自体は、アーリーアダプター層(早期採用者)が多い場所だと考えています。今までにないアイデアが集まる場所なので、先進的な情報・奇を衒った情報に敏感な人が集まってきやすい。一方、PR TIMESは、様々な情報が網羅的溢れている場所です。特定の情報だけが集まっているわけではないので、様々な読者の方がいらっしゃいます。プレスリリースはより公共的に情報発信していけることが最大の魅力ではないでしょうか」

<企業概要>
・企業名:株式会社 PR TIMES
・所在地:東京都港区南青山2-27-25 ヒューリック南青山ビル3F
・代表者:山口 拓己
・URL:https://prtimes.jp/
・事業内容:-プレスリリース配信サービス「PR TIMES」の運営、広報・PRの効果測定サービス「Webクリッピング」の運営、オンライン上で話題化を図るデジタルPRの戦略立案・実施、動画PRサービス「PR TIMES LIVE」「PR TIMES TV」の運営、カスタマーサポートツール「Tayori」の運営、プロジェクト管理ツール「Jooto」の運営、スタートアップニュースメディア「THE BRIDGE」の運営、等

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阿部 裕華

取材好きなフリーライター/編集者。WEBメディア中心に編集・企画・進行管理(たまに撮影・デザイン)もやります。アニメ・コンテンツビジネス・映画・音楽(主にBUMP)が大好きです。

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