実施事例

SGガールズが語る!センチメンタルグラフティ20周年記念クラウドファンディングの舞台裏(後編)

1998年1月に発売されたセガサターン用恋愛シミュレーションゲーム『センチメンタルグラフティ』。2019年に20周年記念イベントの開催のためにクラウドファンディングに挑戦し、1,000万円の目標金額を約9分で達成した。前編ではプロジェクトの企画・運営をおこなった『SGガールズ』の皆さんに、イベントを開催するに至った経緯や、クラウドファンディングに挑戦した理由を伺った。

後編となる本記事ではクラウドファンディングで苦労したポイントや、成功の秘訣について伺う。

プロジェクトデータ
  • プロジェクト名
    「センチメンタルグラフティ20周年スペシャルイベント〜再会〜」 開催プロジェクト
  • プロジェクト目的
    イベント開催のための支援者の獲得
  • 募集期間
    2018年10月11日~11月11日
  • 調達金額
    34,701,700円

失敗で気づく「客観性」の大切さ

みなさん声優のお仕事をしながらプロジェクトを進めていたと思うのですが……アドバイスをくれる方がいたとはいえ、かなり大変だったのでは?

豊嶋:死ぬほど大変でした……。イベントの企画、リターン品となるグッズ製作、宣伝の戦略…すべて自分たちでやるとなっていたので。

米本:LINEでグループをつくって、そこで会議をしていたんですけど、真夜中もずっとチャットが動いていて……朝起きたら100件以上溜まってましたね。

豊嶋:「ライブ企画」「グッズ製作」「WEBサイト制作」とグループにわかれて、それぞれで企画会議をしつつ、プロジェクトに参加してくれてる10人の『SGガールズ』のLINEグループでも常に情報共有や意見交換をして。ロゴ一つ、プロジェクトページの画像の色一つ、すべてみんなで話し合いや投票をして決めていきました。

満仲:みんなそれぞれ仕事や家のことがあるから、集まって話し合う場を設けるのもなかなか難しくて。でも、LINEで文字だけとなると細かいニュアンスが伝わりづらいから、コミュニケーションの齟齬が生まれ、遠回りになったり、意見がぶつかり合ったりすることもあって。本当に大変でしたね。

(豊嶋さん)

そんな中でも特に苦労した点でいうと、何が思い浮かびますか?

豊嶋:みんなそれぞれ大変だったことは違うと思うけど、私はリターンを考えるのが大変でした。20周年記念イベントのプロジェクトとはいえ、イベントには参加できない、でも支援してくださるファンの方もいます。みなさんが納得するリターンって何だろうと考えるのは、一番難しかったですね。

2018年の8月にプロジェクトが本格始動して、10月にクラウドファンディングを実施、2019年1月にはイベント開催。半年間ですべて決めないといけなかったので……。

西口:そんなギリギリのスケジュールで進めていたところ、最初に提案したリターンでちょっとした炎上が発生してしまいまして。考えたリターンが一度白紙に戻ったときはキツかったですね。

それはキツイ……。

西口:2018年の9月にリターンについてツイキャスで公開したら、「これだとグッズをコンプリートするのに30万円以上支援しなきゃいけない、厳しい」と意見をいただいて。

鈴木:私たちはグッズをコンプリートしたい人がいると考えずにリターンを設計していました。コンプリートするとしたら…を仮定してみるといったセオリーのようなものも知らなかった。だから、意見をいただいたとき「そうか、そういう人もいるんだ…」と気づきがあったとともに、「その視点から考え直さなきゃいけないのか…」と(苦笑)

米本:客観性がとても重要だと学びました。私たちが「こうすれば喜んでもらえるだろう!」と思っていても、ファンのみなさんから見てそうとは限らない。その学びがあったから客観的に見ることをかなり意識しました。

満仲:より一層、ファンのみなさん、CAMPFIREのみなさん、センチスタッフのみなさん、いろんな方へ意見を聞いて、力を借りるようにもなりましたね。何か決めるときは毎回「これどう思いますか?」と聞いたり、「どっちがいいですか?」と複数案を出したりして(笑)

豊嶋:「グッズに缶バッチいりますか?」と聞いて、みんなから「いりません」と言われて、なしになったこともありました(笑)

さらにファンのみなさんとコミュニケーションを深めていったんですね。

岡田:それがキッカケとなって、ファンのみなさんの熱量が一気に高まっていった気がします。

鈴木:ファンのみなさんの意見を取り入れると、「みんなでつくり上げている」という意識が一層強くなりました。もちろんいろんな意見があるので、100%みんなが納得するのは難しいと思います。でも、できる限り多くのみなさんが納得する方向に持っていきたいと。

満仲:私たちも、10人みんなの意見が一致することもあれば、そうじゃないこともありましたし。それでも、できるだけ私たちにとっても、ファンのみなさんにとっても、よりハッピーになれる方法を探す。その繰り返しで進んだプロジェクトだったと思います。
大変でしたけど、みんなでつくり上げている意識が高まって、一段と団結力も深まりました。

(左:満仲さん、右:米本さん)

たくさんの種まきが、強い芽を生む

その苦労の甲斐もあって、プロジェクトページ公開後わずか9分で目標金額の1,000万円を達成。決め手は何だったと感じますか?

豊嶋:やっぱりファンのみなさんとのコミュニケーションですね。8月にツイキャスを開始して以降、出られるメンバーが交互に出る形で、週一は必ず配信していました。

あとは、20年前にセンチを応援してくれていた方へ情報を行き渡らせるために、いろいろなところに種まきをして、やれることはほぼすべてやりました。

具体的にどういった種まきをしたのでしょうか?

豊嶋:20周年記念プロジェクト限定のTwitterアカウントとホームページを作成(現在は停止)。
ほかにも、メンバーや当時のスタッフの関係者などにお願いをして、なるべく多くのメディアで紹介してもらって。取材やラジオ出演などもおこないました。
会社を通して進行していない、同人企画のようなものだったので、みんなの伝手を頼りましたね(笑)

西口:「宣伝できそうなところがあれば教えてください!」っていろんな場所へ頼み込んでました(笑)

岡田:宣伝したい情報に関してはTwitterを活用していました。『SGガールズ』のメンバー一人ひとりが宣伝ツイートをしたり、ほかのメンバーのツイートを拾ってリツイートしたりもしました。
そうやって最初は私たちだけで地道にTwitterで宣伝をしていたら、徐々にファンの方たちが自主的に宣伝してくださるようになったんですよ!

「自主的に」というのがすごいですね。

岡田:「PRしよう!」と率先して宣伝してくださいました。それが嬉しくて、ファンのみなさんのツイートをリツイートしていたのですが、毎日沢山のツイートがあって、一日中Twitterを見てました。自分でツイートする余裕がないくらい(笑)

鈴木:ツイキャスの配信直後に、私たちの話した内容をまとめてツイートしたりブログにあげてくれる方々もいました。センチ愛を感じるコミュニティが本当に素晴らしくて。

岡田:作品が愛されていたのはもちろん、『SGガールズ』のみんなも愛されていて、「応援してあげたい」とファンのみなさんに思ってもらえたんじゃないかなと。『SGガールズ』やスタッフだけでなく、ファンのみなさんと一緒にプロジェクトを成功へ導いていったと感じます。

(岡田さん)

「プロジェクトを実施した」この事実を誇りに

実際にクラウドファンディングを利用してみて、どんなところがメリットだと感じましたか?

西口:プロジェクトを出す側と支援する側、双方向がすり合わせながら、プロジェクトを進めていけるところですね。
資金がゼロのところから、資金調達達成というゴールに向かって、みんなで一緒にプロジェクトをつくり上げていくと、ゴールに到達したとき、支援・応援してくれたファンのみなさんも喜んでくれました。ファンのみなさんと一緒に喜べるのもメリットだと感じます。

逆にデメリットだと感じることはありましたか?

西口:資金調達に失敗したとき「失敗したプロジェクト」の印象がついてしまうことですかね。作品の印象に影響を及ぼす可能性があるので……ただ、万が一失敗したとしても、その結果を恥じずに、「プロジェクトを実施したこと」に誇りを持つのが大切かもしれません。

鈴木:あと、デメリットといえるかは分からないのですが…支援募集終了後に「支援したい」と言ってくれた方へ措置ができないこと。今回、かなり周知は頑張ったつもりでしたけど、募集が終わってから知る方も一定数いらっしゃって。「応援したかった…」と残念な想いをさせてしまった。
そんな想いを反映できる措置がクラウドファンディング上でできればいいな…と思う一方、そこを含めてクラウドファンディングなんですよね…。

なので、支援募集開始前、募集中にどれだけ周知できるかが、本当に重要だと思います!

(左:鈴木さん、右:西口さん)

20周年記念イベントは価値観を変えるほどの熱量だった

ファンのみなさんとの団結力がさらに深まったクラウドファンディング後に、開催した『センチメンタルグラフティ20周年スペシャルイベント 〜再会〜』。イベント当日を振り返ってみていかがでしたか?

一同:すごかった…!!

米本:「中途半端なことはできない!」と勝手に思ってしまうくらい熱量がすごかったです。
やるからには私なりのプロフェッショナルな姿を見ていただきたいと思い、松岡千恵に成り切ってマイクスタンドを回しました(笑)最高のパフォーマンスをお届けしたいと思うくらいでしたね。

岡田:自分の人生がガラッと変わりました。
実は、個人的な話なのですが…センチという作品にあまり良い印象がなかったんです。今回のプロジェクトも「みんながやるんだったら…」と一歩引いたところで参加をきめて…。

でも、ファンのみなさんの応援をたくさん受けて、熱量を感じて、「このままじゃダメだ!自分にできることってなんだろう」と本気で考えるようになりました。

価値観を変えてしまうほどの熱量を感じたんですね。

岡田:『SGガールズ』のみんなも、ファンのみなさんもとても優しかったんです。私の暗黒時代と思っていた記憶が晴れ上がるプロジェクトでしたね。

それに、2019年1月に開催されたイベントなのに、一年経ったいまもSNSなどで応援してくださっています。そんな素晴らしい作品、素晴らしい人たちに出会えて、いまはとても幸せです。

鈴木:このプロジェクトがキッカケでゲームも見直されていますし。「結構よかったじゃん!」みたいな(笑)『SGガールズ』、当時のセンチのスタッフ陣、ファンのみなさん、みんなで本当に幸せな思い出になったと思います。

お話をお伺いしているだけで幸せな気持ちが伝わってきます。では、最後に、ここまで熱量が上がった一番の理由はなんだと思いますか?

豊嶋:二つあると思っています。
ひとつは、『SGガールズ』みんなの熱量が高かった。出演声優が主導となって企画したイベント自体、なかなかないと思います。さらに、センチの1と2の声優13人のうち10人がイベント出演、イベントにいただいたコメントを合わせると13人全員がこの企画に参加しているんです。20年前の作品にも関わらず、メンバー13人が揃ったのは、本当にすごいことだなと。
しかも、同じ熱量の高さで進められました。何かお願いすれば、全員が手を挙げてくれる。私たちの熱量の高さが、ファンのみなさんにも伝わり、応援していただけるキッカケになったと感じます。

もうひとつは、原作のスタッフから新しいプレゼントをファンのみなさんへお届けできた。
今回プロジェクトを進めるにあたって、当時のスタッフ陣が沢山参加してくださいました。プロデューサーの多部田俊雄さん、イラストレーターの甲斐智久さん、音楽プロデューサーの濱田智之さん、シナリオライターの大倉らいたさんが集結して、描き下ろしのイラストと20周年CDをファンのみなさんに届けることができました。現在のセンチの権利元であるガンホー・オンライン・エンターテイメントさんが使用許可を出してくださったおかげでもあります。これも熱量を高めた理由のひとつではないかと。

(イベント・リターンで使用した甲斐智久さん新規イラストラフ)

20年ぶりに集まった『SGガールズ』、スタッフの皆様、ファンの方の力が結集して、奇跡の20周年イベントが開催出来ました。本当にありがとうございました!

取材ありがとうございました。そして、改めて『CAMPFIRE CROWDFUNDING AWARD 2019』総合賞5位おめでとうございます!

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阿部 裕華

取材好きなフリーライター/編集者。WEBメディア中心に編集・企画・進行管理(たまに撮影・デザイン)もやります。アニメ・コンテンツビジネス・映画・音楽(主にBUMP)が大好きです。

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