実施事例

クラウドファンディング二度目の挑戦! 『アバター絵本システム』開発プロジェクトで意識した三つのこと

読者自身が名作絵本の中の主人公として登場できる『アバター絵本システム』を開発するため、クラウドファンディングに挑戦した株式会社アッタデザイン。プロジェクトぺージ公開三日後には目標金額の200万円を達成。中には50万円のリターンへ支援する人も。

結果だけ見れば成功と思える本プロジェクトだが、同社は以前クラウドファンディングに挑戦し未達に終わった経験を持つ。一度失敗した経験をどのように活かしたのか。目標金額の達成に向け意識したこととは。同社代表取締役の國則圭太さんに話を伺った。


株式会社アッタデザイン代表取締役 國則圭太さん

プロジェクトデータ
  • プロジェクト名
    自分が主人公になって絵本の中に入れる!「アバター絵本システム」開発プロジェクト
  • プロジェクト目的
    開発資金の調達、製品の宣伝
  • 募集期間
    2021年4月6日~5月9日
  • 調達金額
    3,031,442円
  • パトロン数
    196人

新しい絵本の形『アバター絵本』への挑戦

オリジナル絵本ギフトサービス「ÉHON INC.(えほんインク)」を運営する株式会社アッタデザインは「ÉHONを贈る文化の創造」をミッションに掲げ、ストーリー・イラスト完全オリジナルのフルオーダーメイド絵本を制作してきた。

そんな同社の新しい挑戦が『アバター絵本システム』の開発だ。最新テクノロジーと名作絵本を融合させ、自分のアバターを絵本の世界に登場させるというもの。そのシステム開発資金を調達すべく、クラウドファンディングに挑戦した。

一度目の失敗を払拭させるため、リベンジを決意

実は、2019年12月に同社は「ÉHON INC.」サービス開発費用の資金を調達するため、クラウドファンディングに挑戦していた。目標金額を100万円に設定。しかし、支援総額は目標の半分も達成することができなかった。


世界に1つだけのオリジナル絵本製作サービス【ÉHON INC.(エホンインク)】
https://camp-fire.jp/projects/view/197936

國則さんは、当時の後悔と、リベンジを決意するに至るまでのマインドの変化を語った。

「クラウドファンディングの知識があまりない中で挑んでみたら、案の定目標未達。プロジェクト終了後は、頭の中がずっとモヤモヤしていて、後悔でいっぱいでした。

とはいえ、クラウドファンディングに失敗したからといって自分の思い描いている事業に自信がなくなったわけではなくて。準備不足のままクラウドファンディングに挑戦してしまったことが良くなかった。本気で事業を進めていく上で、『このまま失敗の魚拓が残り続けるのは嫌だ。汚名返上していかないと!』と考え、リベンジを決意。そして、目標金額を倍に設定し再度クラウドファンディングに挑戦しました」

二度目のチャレンジで意識した三つのこと

一度目の経験を踏まえ、二度目のクラウドファンディングでは以下の三つを取り入れた。

① 綿密な事前準備

周囲のクラウドファンディング達成者のアドバイスや、クラウドファンディング成功に向けたノウハウ記事を参考に、「事前にやることリスト」を作成した。一度目のクラウドファンディングは準備段階から右も左も分からない状態でプロジェクトを進めていた。しかし、今回は事前調査や作戦を練り、多くの人たちへ事前に声かけやSNSでのカウントダウンも実施。前回以上に準備への労力を費やしたという。

中でも特に力を入れたのが「仲間集め」だ。

「クラウドファンディング開始の際にはフォロワーさんを巻き込めるようにと、今回のプロジェクトを始めるおよそ一年前から、僕自身のTwitterアカウントの運用に力を注いでいました。事業にまつわる話、絵本の話など発信を続け、フォロワーさんとの仲を深めていきました」

事前準備に時間を費やし、話題性を作ることができたため、スタートダッシュに成功。クラウドファンディング三日後には目標金額を達成した。

② チームでの挑戦

一度目のクラウドファンディングは國則さん一人での挑戦だったが、今回は会社のスタッフと連携してプロジェクトを進めた。クラウドファンディングを実施すべく五人のチームを組み、それぞれの意見を取り入れる狙いだ。

「一人でクラウドファンディングを進める場合、自己判断でしかプロジェクトページを作成できません。しかし、人数が増えることで『ここは良くない』『もう少しこういう伝え方にしたらどうだろう』と客観的な視点と意見が加わります。そうした話し合いができたことで、多くの人に響くプロジェクトページが作れたと感じています」

③ 地道な啓蒙活動

①の事前準備の話にも通じるが、プロジェクト開始前から実施していた地道な啓蒙活動が目標金額達成への大きな足掛かりとなった。國則さん自身も「達成した理由は泥臭い啓蒙活動」と語る。日常的なTwitterの発信はもちろん、対面で会う人へのアナログな啓蒙活動も欠かさない。さらに、一度目の失敗をも逆手に取っていた。

「SNSでも『前回失敗したから今回は何とか達成したい。だから応援してほしい』と正直に言い続けていました。カッコ悪くても目標を達成するために今の気持ちをちゃんと伝えようと。この姿勢に対し、応援・共感が集まったのではないかと思います。『しょうがないな……』という同情で支援してくださった方もいたと思いますが(笑)。

プロダクトそのものが完成されていない状態でのクラウドファンディングだったので、想いや目指していることへ共感・信用を得ることが大切だなと。そこはかなり意識しましたね」

この地道な啓蒙活動は実を結び、Twitterのフォロワーや直接繋がりのある人たちから多くの支援を集めることができた。國則さんは「Twitterのフォロワーさんから多額の支援をいただいたことは、やってきたことが報われたような気がして嬉しかったですね」と顔をほころばせる。

プロダクトの現物がない中で設定した三つのリターン

本プロジェクトの資金調達の目的は『アバター絵本』のシステム開発の資金調達であるため、開始時点でプロダクト自体は未完成の状態だった。しかし、國則さんはあえて未完成のプロダクトをリターンに設定。プロジェクト終了後に『アバター絵本』に触れてもらうための仕掛けをつくった。用意したリターンは、大きく次の三つだ。

① プロダクトの予約販売

早期割引や特典をつけた『アバター絵本』をリターンに設定。実際のアバターイメージを支援者が視覚的に認識できるよう、プロジェクトページ内にGIFアニメを組み込んだ。さらに、開発段階のシステムを公表し、開発に対する信憑性と期待感を、舞台裏を見せることでのワクワク感を演出した。

② スポンサー権

『アバター絵本』のスポンサーとして、「ÉHON INC.」の公式WEBサイトに支援者の名前を掲載。自社の宣伝をしたい企業や絵本は必要ないがプロジェクト自体を応援したいと考える人への訴求が目的だ。

③ 社会貢献

両親がいなかったり、施設育ちだったり、親から絵本をプレゼントしてもらう機会のない子どもたちに『アバター絵本』を届けるリターン。特定非営利活動法人 児童養護施設卒園者共生協会 フレイバース協力のもと実現し、中には50万円の支援をした人もいた。

「恵まれている子どもの喜びを倍増するサービスは数多くあります。同時に、恵まれていない子どもを笑顔にするサービスがあってもいい。そんな想いを実現するために考えたリターンでした。施設に届ける際には、『アバター絵本』を子どもたちへ渡す様子を撮影して、支援者のみなさんに送ることができたらいいなと思っています」

リベンジを果たした今感じる、クラウドファンディング二つのメリット

一度目の失敗で折れず、二度目の挑戦では無事に目標金額を達成させた國則さん。リベンジを果たした今だからこそ気づいたクラウドファンディングの魅力を、次のように語る。

「僕が今感じているクラウドファンディングのメリットは二つ。一つは“プロダクトのテストマーケティングに最適”だということ。そもそも『アバター絵本』に需要があるのか。プロダクトの可能性が数字として理解できたのは大きかったです。

もう一つは“広告費を払わずともPRになる”ということ。メディアに露出のキッカケになったり、『今度一緒にこういうことをやりませんか?』と声をかけていただいたりすることも増えました。まず自分たちのプロダクトを認知してもらい、その先の広がりを生むためのツールに最適だと実感しています」

現在、『アバター絵本』を絶賛開発中。國則さんは「クオリティの高いプロダクトを必ずお届けできるように頑張ります」と意気込む。また、施設への『アバター絵本』の寄付については「支援してくださったみなさんの想いは、責任を持って子どもたちに届けるのでご安心ください。活動報告も楽しみに待っていてくださいね」と語る。

『アバター絵本』のオリジナルストーリーを目指して

最後に、今後「ÉHON INC.」が目指す未来を國則さんから伺った。

「僕の想いの根底には『コミュニケーションを豊かにして、たくさんの人の笑顔を増やしたい』という願いがあります。その中で、僕自身も子どもがいて絵本が身近なコンテンツであったことから、絵本をビジネスモデルの一つとして考えました。

『大切な人に自分の内に秘めた想いを伝えたい』。オリジナル絵本を使えば、そういう人の背中を押すことができる。そして、その想いを受け取った人はきっと心に変化が起こるはず。バレンタインデーに大切な人へチョコレートを贈る文化があるように、何か伝えたいことがあったときに『ÉHON』を贈る文化を作りたい。そんな社会の確立を目指しています」

「今回の『アバター絵本』はテスト的な側面があります。現在の『アバター絵本』は、童話などのすでに存在するストーリーに読者が入り込む形ですが、今後は読者一人ひとりに寄り添ったオリジナルストーリーを作っていきます。“読む人に勇気を与えられるストーリー”“友だちと仲良くするストーリー”“家族の愛が伝わるストーリー”など色々な物語を作っていきたいですね」

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阿部 裕華

取材好きなフリーライター/編集者。WEBメディア中心に編集・企画・進行管理(たまに撮影・デザイン)もやります。アニメ・コンテンツビジネス・映画・音楽(主にBUMP)が大好きです。

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