実施事例

6,000人以上に支えられた「clubasia 存続支援プロジェクト」の裏側

新型コロナウイルス感染拡大による営業自粛から、経営の継続が困難な状況に陥ってしまった企業が相次いでいる。

カルチャー・オブ・エイジアが運営するライブハウスもまた存続の危機を迎えた。運営する4店舗のうち、3店舗(VUENOS,Glad,LOUNGE NEO)の閉店を余儀なくされたのだ。そして、残る1店舗の「clubasia」もまた閉店の危機に―—。

「clubasiaを何としてでも残したい」
この想いからクラウドファンディングの活用を決断。そして、プロジェクト発足後、わずか40分で目標金額の500万円を達成した。多くの人たちがclubasiaの存続を強く願った証拠だろう。
今回は、clubasiaの店長であり本プロジェクトを発足した鈴木将さんから、クラウドファンディングにかける想いを伺った。

プロジェクトデータ

プロジェクト名 clubasia 存続支援プロジェクト
プロジェクトの目的 資金調達
募集期間 2020年5月1日(金)〜6月15日(月)
支援総額 37,583,300円
支援者数 6494人
プロジェクトURL https://camp-fire.jp/projects/view/268762

クラウドファンディング決断の理由

— 今回、資金調達の手段としてクラウドファンディングの活用を選択した理由について教えてください。

鈴木将(以下、鈴木):資金調達にはいろいろな手段があるので、正直なところクラウドファンディングは最終手段だと思っていました。人さまからお金をいただくことになるので、ギリギリまで悩んだところではあったのですが……国からの融資や助成金もありますが、そこだけでは足りない部分もあって。ほかにも、Tシャツを販売して資金を集めるライブハウスさんやクラブさんもいますが、結局はクラウドファンディングのリターンとあまり変わらないなと。

であれば、素直に文字で自分たちの想いを分かりやすく伝えて、リターンでお返しをしていけるクラウドファンディングは、一番我々の気持ちが伝わるのではないかと考えました。

同時に系列店舗についても、クラウドファンディングの活用を考えましたが、先に閉店が決まってしまったので、clubasiaの経営に絞るという形で実施する決断に至りました。

— プロジェクト開始から約1ヶ月半で目標金額は700%超え、支援者数は6,500人に迫る勢いです。率直にどのようなお気持ちですか?

鈴木:びっくりしています。プロジェクト開始40分で目標金額、1日で約2,000万円達成。逆にプレッシャーになりました。

プロジェクト開始前は、全店店長かなり心配していて……周りからは「目標金額少ないんじゃない?」と言われていましたけど、僕たちは目標金額の500万円でさえ集まらないかもしれないと心配してました。でも、こんなに早く、しかもかなりのペースで支援されていくのを見て、愛されているんだなと感じましたね。

— 支援者のみなさんは、clubasiaを利用されている方たちなのでしょうか?

鈴木:clubasiaだけではなく、うちの系列全店のこれまでお客様も支援してくださったのだと思います。いまはライブハウスから離れている人や、昔から付き合いのあるお客様からも連絡がきました。うちのライブハウスの歴代の店長やスタッフがしっかりやってきてくれたおかげだと感じています。

本当に申し訳ない気持ちになるくらい支援の勢いが全く落ちないです。

— 事前に話題になるような仕掛けづくりはされましたか?

鈴木:それが、全くしていなくて。3店舗の閉店も同時に進めていたため、かなりバタバタしていて、プロモーションのことは頭から抜け落ちていました……。なので、最初にプロモーション的なことをしたのはTwitterだけ。

とはいえ、「閉店」というワードがかなり大きかったんでしょうね。そこで情報が広がって、クラウドファンディングにも流れていった感覚はあります。

「KEEP clubasia CONTINUE PARTY」を掲げたプロジェクト設計

— プロジェクトを進めるにあたり、どのような点を意識しましたか?

鈴木:「閉店する」だけではなく「clubasiaは何とかして残したいから、応援してください」という空気づくりを意識しました。そこから、「KEEP clubasia CONTINUE PARTY(残したい場所がある、続けたいパーティーがある)」をコンセプトに掲げて、プロジェクトページやリターンを考えています。

— シンプルで分かりやすい文章に加え、TOPやリターンの画像はとてもオシャレで、細部までこだわりを感じます。

鈴木:すでにプロジェクトをされているライブハウスさんやクラブさんのプロジェクトを見た上で、「自分だったらこうする」と思った内容を反映しました。

本文の文章は、つらつらと長くせず、短い中に想いを込めるとか。長い文章は読むだけで疲れますし、よっぽど好きなお店じゃないと最後まで読み切らないと思ったので。最初は「応援コメント」も入れていませんでした。

— あえて入れなかったということですか?

鈴木:はい。クラウドファンディングは最初が勝負だと聞いていたので、プロジェクトの説明と「最後に」という僕からのコメントだけを書いて、まずは想いを伝えて資金を集めていこうと。そこから、支援を継続的に集める仕掛けとして、アーティストやオーガナイザー(イベント主催者)の方々のコメントを追加で掲載していこうと考えたんです。

— コメントにはそうそうたる顔ぶれが並んでいますよね。

鈴木:閉店する各店舗の店長に頼んで、お世話になっているアーティストやオーガナイザーのみなさんからコメントを集めました。アーティストだけでなく、オーガナイザーの方からコメントをいただいたのも、彼らがいなければコンセプトである「CONTINUE PARTY」ができないと考えたからです。

— コンセプトが書かれているTOPの画像も印象的ですが、このデザインは鈴木さんのアイデアですか?

鈴木:僕が考えたイメージをデザイナーに伝えて作成しました。弊社の元デザイナーに連絡して、一緒に作成しました。これまで関わってくれた人と何かしたいと思っていたので、実現できてよかったです。

リターン画像も全て作成しました。文字だけではわかりづらいと感じたので、パッと見たときにリターンの内容が分かるように意識しました。

— リターン品の部分でこだわった点はありますか?

鈴木:Tシャツのデザインはダサくならないようにかなり意識しました。2種類あるのですが、Ⓐはお店のロゴが入ったシンプルなデザインに。Ⓑはasiaの店舗の写真を加工してカッコよさを意識しながら、今回のプロジェクトのコンセプトが伝わるデザインにしています。
また、高額支援を目的にVIPカード(ゴールド:5万円、ブラック:10万円)を考えたのですが、支援してくれる人はいないだろうと思っていたんです。そしたら、5分くらいで完売したそうで……驚きました。Tシャツも3,000枚以上発送しないといけないので、様々に思案しています。

— デザインを含め、かなりこだわりを持ってプロジェクトをつくり上げていますが、準備にはどれくらいの時間をかけたのでしょうか。

鈴木:14日くらいですね。クラウドファンディングを実施する決断をしたのも、4月12日の週とか。17~19日でリターンのアイデアを社内で募って、20日にデザイナーと準備を進めて、28日くらいに一通り完成。かなりバタバタでした。

本当は時間をかけてやるべきだと思うのですが……やっぱりお金をいただくことが自分の中ですごく引っ掛かっていたため、ギリギリまでクラウドファンディングを使わない手段を考えていて。だからこそ、やるからには日頃から応援してくださる皆様にしっかりと応えられる内容をと思い、短い時間の中で何度もつくり直してできる限りの準備を進めました。

— 短期間でこの完成度の高さ、すごいと思います。

鈴木:CAMPFIREの方にもとても相談に乗っていただいたので、つくり上げることができたと思います。

でも、まだ成功とは言えないというか。リターンがちゃんと支援者の皆様に届いて、clubasiaが再開するまで、そこまでやりきって成功だと言えると思うので、まだまだ頑張らなければと思っています。

クラウドファンディングは「助けてツール」ではない

— クラウドファンディングを利用してみて、いかがでしたか? 改善してほしい点やメリットだと感じる点など教えてください。

鈴木:贅沢な要望かもしれないのですが、プロジェクトの終了日が立案者の努力次第で決まる方が良いと思いました。達成額以上の支援はとてもありがたいことです。ですが掲げた目標は達成できていますので、そこから先を求めるなら立案者の努力がなければ支援を募れないシステムにすれば、支援者頼りというか、プロジェクトを立ち上げて終わりにはならないので。それと、予想以上の支援をいただくことは開始してみなければわからないので、支援者にしっかりとリターンを戻すためにもOut of stockはコントロールできたらよかったなと感じています。もちろん立案者の努力で対応すれば良いのですが、努力だけで応えられないこともありますので。全ては支援者様を考えて思ったことですね。

メリットは、単純に資金調達ができることそのものではないでしょうか。また、クラウドファンディングは自分たちの想いを自分たちの思うデザインで表現できる。そういった土台がすでに出来上がっていることがメリットだと感じますね。

— 今後、ライブハウスやクラブの方たちがclubasiaと同じような理由からクラウドファンディングを活用する可能性もあると思います。そういった方たちに向けて、アドバイスをお願いします。

鈴木:「助けてツール」にしないことだと思います。

CAMPFIREで支援したあとにツイートすると「夢見る人をはじめる人に」とハッシュタグが表示されます。でも、お店を存続させるのは「夢を見ている」というより、「助けてほしい」という印象がどうしても強いと思うんです。

なので、僕たちは「clubasiaを残すことで誰か(アーティストやオーガナイザー)の夢に繋がる」という気持ちで、今回のクラウドファンディングに挑戦しました。だから、ここまで支援が集まったのだと感じています。単純に「コロナウイルスの影響で営業が困難なので、お金ください」とすがるだけでは支援は集まらなかったと思います。

— お金集めだけを目的にしない方が良いということですね。

鈴木:店舗の存続のためにクラウドファンディングを使うのなら、「なぜ残したいと考えているのか」というストーリーを考えることが大切です。

そして、そのストーリーを表現するためにも、プロジェクトに関わるデザインや内容は本気でこだわった方がいい。

何が言いたいかというと、人からお金をもらうからこそ「とりあえずつくった」はお門違い。苦しいのはみんな一緒なので、本当に資金調達をしたいのなら本気で準備しないと。気合を入れた方がいいと思います。

— 最後に、支援してくださった方たちにメッセージをお願いします!

鈴木:本当にありがとうございます。感謝しかありません……。
絶対、この感謝の気持ちを形にします。clubasiaは必ず存続させます。そして、必ずみなさんとお会いできるようにしますので、引き続き僕らの活動を見守ってください。見守っていただいた分、僕たちはつくり上げていきます。どうぞよろしくお願いします!

6,000人以上に支えられた「clubasia 存続支援プロジェクト」の裏側
1996年のオープンから24年間、渋谷のライブハウス・クラブカルチャーの一旦を担い多くの方々に愛され続ける老舗、『clubasia』 この事態により閉店してしまった系列3店舗の魂を注ぎ、『clubasia』存続のためにクラウドファンディングに挑戦中🔥

阿部 裕華

取材好きなフリーライター/編集者。WEBメディア中心に編集・企画・進行管理(たまに撮影・デザイン)もやります。アニメ・コンテンツビジネス・映画・音楽(主にBUMP)が大好きです。

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