実施事例

4つのプロジェクトで目標金額を達成した『つくば市事業者応援チケット委員会』が語る成功への道のり

茨城県つくば市は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い多大な影響を受けた事業者を支援すべくクラウドファンディングへ挑戦。『つくば市事業者応援チケット委員会』を発足し、「飲食店」「生活関連サービス」「旅客運送業」「文化芸術」それぞれのプロジェクトを5月から10月の5ヵ月間にわたって順次実施したのだ。

そして、全てのプロジェクトが目標金額を達成するという結果に。また、4つのプロジェクトのうち2つのプロジェクトは目標金額の2,000%を超える支援が集まった。この見事な結果の裏側に迫るため、本プロジェクトを実施した『つくば市事業者応援チケット委員会』へ話しを伺った。

コロナ禍だからこそ迅速性を。クラウドファンディング実施の理由

つくば市では、新型コロナウイルスの影響が深刻に出始めた緊急事態宣言発令中に、つくば市内の多くの事業者の苦しい状況をいち早く助けることを目的とし、運営に向けて「つくば市事業者応援チケット実行委員会」という新たなチームを結成。

チームメンバーの中に、以前クラウドファンディングを実施した経験があったことや、千葉県柏市さんが実施していたプロジェクトを見ていたことで、どのくらいの支援が集まりそうか、おおよその予測を立てられたため、早急なプロジェクト立ち上げに繋がった。

あえて、CAMPFIREという外部のシステムを利用したのも大きなメリットに繋がると考えてのことで、「クラウドファンディング、支援、応援」といったワードがSEOで上位に上がってくるのはもちろん、決済までの手続きがスムーズなのも選ぶ大きな判断材料となった。何よりも、時間や大きな手間をかけるのではなく、「事業者さんをいち早く助けるためのプロジェクト」を念頭に置き、プロジェクトを一日でも早く始めようという想いでスタートまで漕ぎつけた。

4つのプロジェクトを成功に導いた「3つのポイント」

4つのプロジェクト全てが成功した『つくば市事業者応援チケット委員会』。プロジェクト設計時にはどのようなこだわりが込められていたのだろうか。3つのポイントを伺った。

① “統一感”を意識した4つのプロジェクトページ

5月上旬~6月中旬に「飲食店」、5月下旬~7月上旬に「生活関連サービス」、6月中旬~7月下旬に「旅客運送業」、8月下旬~10月上旬に「文化芸術」のプロジェクトを実施。それぞれ業種は異なるものの、一目で『つくば市事業者応援チケット実行委員会』と理解できるようなプロジェクトの設計に。

● 本文
本プロジェクトを実施した理由に共感してもらうため、「各事業者がコロナ禍でどのような影響を受けたのか」「今、どのような思いで事業をしているのか」といった内容を分かりやすくメッセージとして伝えた。

● 画像
「つくば市を応援するプロジェクト」というのがTOPで理解できるように、同じテイストの画像を使用。一方で、全く同じTOPではプロジェクトの違いを把握できない可能性も考慮し、業種ごとにテーマカラーを設定し、リターンにも同じカラーを使用して統一感を出した。

●リターン
「3,000円支援すると3,500円分の応援チケットが手に入る」というように、支援金額の2割上乗せしたチケットをリターンとして設定。同じリターンを設定することで、プロジェクトを実施するごとに支援者がチケットの仕組みを理解したり、委員会側も理解してもらいやすいような工夫を施したりできるといったメリットもあった。

②リターンを「チケット有」「チケット無」に設定

本プロジェクトのリターンには「チケットなし」が設定されている。ただ資金調達をするだけであれば、チケットなしで支援を集めた方が予算をかけずに済むだろう。その中で、“あえて”チケットを設けたのには理由があった。

「支援して終わりにするのではなく、支援したあとにも事業者様と支援者様の繋がりをつくりたいと思いました。事業者様のお店に実際に足を運ぶことでリピーターになったり、実際に会うことで今後も応援しようと思えたりするかもしれません。クラウドファンディングだけにとどまらず、リアルでも盛り上げてほしいという思いから、チケット有を設定しました」

③活動報告や一斉メールで“躍動感”を演出

CAMPFIREでは過去にプロジェクトへ支援したユーザーに向け、メールを一斉送信することが可能だ。この機能を活用し、プロジェクトの盛り上がりを逐一報告することで、一度支援したユーザーが再度支援したくなるような仕組みを取り入れていた。

「事業者のみなさまへのインタビューやお店の情報などを週に1~2回活動報告として掲載していました。事業者のみなさまがどう困っているか、今どういう状況なのかリアルな面を逐一報告することが大切だと思います。同時にプロジェクトが動いている躍動感を見せることで広くリーチができます。それはCAMPFIREの支援までの導線の良さにかなり助けられました」

目標達成の裏側には「プロジェクト実施前・実施中・実施後」の苦労も

こだわりの甲斐もあり、各プロジェクトは以下の支援総額(達成率)となった。

つくばの飲食店応援プロジェクト:66,817,393円(2,227%)
つくばの生活関連サービス応援プロジェクト:74,567,500円(2,485%)
つくばの旅客運送業応援プロジェクト:9,886,500円(329%)
つくばの文化芸術応援プロジェクト:8,859,600円(885%)

この数字については「かなり驚きの数字」と一言。支援者の多くは、つくば市在住で事業者を応援したい気持ちの強さが垣間見えたそう。そのため、複数のプロジェクトを横断して支援するユーザーもいた。

「飲食店に関しては参加事業者様も多く、支援が集まりやすいだろうと想定していました。しかし、生活関連サービス・旅客運送業・文化芸術は、どういったターゲット層とマッチするのか判断がつかなかったため、目標金額を達成したときは委員会の一体感にも繋がりました。みんなで一つになってつくば市を応援しようという気持ちが伝わってきました」

そんな『つくば市事業者応援チケット実行委員会』がクラウドファンディング実施における「苦労を感じたポイント」についても話しを聞いてみた。プロジェクト【実施前】【実施中】【実施後】に分けて説明していく。

【実施前】事業者への説明

多くの事業者を助けるために発足されたプロジェクトだったことから、委員会チームで手分けをしながら毎日営業電話をかけて参加事業者を募った。クラウドファンディングのサービス自体を知らない事業者ももちろんいたため、プロジェクトの説明をした際には理解されないこともあったそう。

そんな中で「コロナ禍で困っている状態を支援したい」という思いや「クラウドファンディングのサービスを通じて応援できる仕組みをつくっている」と説明するなど、事業者への理解はチーム一丸となって地道に丁寧に進めることができた。

【実施中】支援者への対応

支援者が多くなればなるほど増えるのが、必要項目への記載不備や問い合わせだ。本プロジェクトでは定期的な活動報告やPRの実施などアプローチも並行して実施していた。プロジェクトそのものの作業と、日々出てくる不備や支援者からの問い合わせ対応。チーム全員で担当を振り分け、確実に一つずつ丁寧にかつスピーディに対応することに努めた。

【実施後】迅速性かつ正確性を要する入金/リターンの配送作業

● 迅速性かつ正確性を要する入金
前述した通り、本プロジェクトはスピード感が命だ。事業者へ“早く”資金を調達することが最大の目的である。一方でお金を扱うからこそ正確さも必要だ。迅速さと正確さを保つために人数を割きながら入金作業を進めていった。

● リターンの配送作業
支援者が増えれば増えるほど、プロジェクト終了後のチケットの発送作業は苦労を要する。不備や細かい手続きに関する対応、チケットの枚数の正確さに時間をかけ、2~3重チェックのもとリターンの配送作業を行った。

クラウドファンディング実施を検討中の自治体へ「2つのアドバイス」

これらの苦労の末にプロジェクトを成功させた『つくば市事業者応援チケット実行委員会』から、今後クラウドファンディング実施を考える自治体へ向けた2つのアドバイスを聞いた。

①過去の施策をカスタマイズする

「最初から全く新しいことをクラウドファンディングで挑戦するのは難しい側面があるかと思います。それよりも自治体で過去に実施した災害時の施策などを組み合わせてクラウドファンディングの形で実施すると成功確率が上がるのではないでしょうか。また、活動の目的にそもそもクラウドファンディングが合うか合わないかを判断することが重要かもしれません」

②支援者との信頼関係を大切に

「プロジェクトを成功させるポイントは支援者様との信頼関係です。そこを裏切らないよう、まずは迅速に正確にリターンをお送りすること。問い合わせにはすぐに対応すること。不安にさせない対応がとても大切だと感じました。一度我々を信用した上で支援してくださっていることを忘れずに。いかに真摯に向き合えるかが大切だと思います」

最後に、今回のクラウドファンディングの支援者に向け、『つくば市事業者応援チケット実行委員会』から感謝のコメントをいただいた。

「『つくば市事業者応援チケット実行委員会って何?』というところから始まったにも関わらず、これだけ多くの支援をいただけたこと、感謝の気持ちでいっぱいです。つくば市の事業者様を助けたいという思いに賛同いただけたと感じています。おかげさまで事業者様からもお振込みに対するお礼をいただき、実行委員会一同クラウドファンディングをやって良かったと感じております。みなさんの思いが一つになって、目的を叶えられたことは何よりも大きな財産です。本当にありがとうございました」

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阿部 裕華

取材好きなフリーライター/編集者。WEBメディア中心に編集・企画・進行管理(たまに撮影・デザイン)もやります。アニメ・コンテンツビジネス・映画・音楽(主にBUMP)が大好きです。

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