実施事例

街一体を味方につけて、コロナに挑む。『飲食したつもりで柏の飲食店を応援』プロジェクト成功の秘訣

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年2月からCAMPFIREが実施している『新型コロナウイルスサポートプログラム
本プログラムを早い段階から活用し、多くの支援を集めたプロジェクトがあった。

『新型コロナウイルスに負けない!飲食したつもりで柏の飲食店を応援!』だ。
千葉県柏市の飲食店258店舗が参加した同プロジェクトは、目標金額の300万円を大幅に達成。支援総額は4,400万円を超えた。
これがキッカケとなり『新型コロナウイルスサポートプログラム』を知る事業者も多くいた。

同プロジェクトを進行した「あすチケ柏!実行委員会」は、柏市の飲食店と柏市役所、かしわインフォメーションセンター、そして広告代理店の株式会社フィルズリンクスのメンバーで構成されている。そこで今回は、実行委員の事務局を担った株式会社フィルズリンクスの舟山洋平さんからプロジェクト成功に向けた取り組みについて話を聞いた。

プロジェクトデータ

プロジェクト名 新型コロナウイルスに負けない!飲食したつもりで柏の飲食店を応援!
プロジェクトの目的 柏市飲食店の資金調達
募集期間 2020年4月5日(日)〜5月10日(日)
支援総額 44,716,880円
支援者数 4003人
プロジェクトURL https://camp-fire.jp/projects/view/250060

SNSの発信がクラウドファンディング実施のキッカケに

プロジェクトの始まりは、柏市でアジアン料理店を24年間営み、あすチケ柏!実行委員会 代表でもある佐々木さんの提案だった。

コロナ禍で不安な気持ちが高まっていた2月後半のこと。「こんなときこそ、仲間で協力し合って、知恵を出して、できることをやらなくては」と想いが募ったという。そんなとき、偶然目にした北海道の飲食店を支援するクラウドファンディングから、柏市でも同じような取り組みをしたいと考え、3月上旬にSNSへ投稿。柏市の飲食店をはじめ、街の方たちから多くの賛同を集めることとなる。

投稿は柏市役所の職員にも目に留まり、複数の飲食店と柏市役所の職員で最初の顔合わせを行った。そこで、柏市の情報案内に特化しているかしわインフォメーションセンターと、柏市の「ふるさと納税」で事務局の業務に携わっている柏市の広告代理店フィルズリンクスに協力を仰ぎ、実行員会を発足した。

実行委員の力を合わせて。クラウドファンディング実施時に意識した4つのポイント

刻一刻と経営が不安定な状態になっていく中で、スピード感を持って取り組みを進めていかなければならない。準備期間はわずか2週間ほどしかなかったという。
短期間の中で、実行委員会が意識した4つのポイントを説明していく。

〇 当事者の想いが伝わる本文

基本的には広告代理店のフィルズリンクスがプロジェクトページの作成に携わった。当初は、プロジェクトページの本文も同社が作成していたのだが、「当事者の想いは当事者から語られた方が良いのではないか?」と、プロジェクト開始直前に文章を変更した。

それが、プロジェクト本文、冒頭の実行委員会・代表の佐々木さんの写真と言葉

「プロジェクト本文の流れや起承転結などの大枠をフィルズリンクスさんが、文章の中身は当事者である私たち飲食店、とそれぞれ役割を決めて進めていきました」

〇 支援者に喜ばれるリターン

同プロジェクトの主なリターンは以下の2つ。

【1】「食事券を事前購入」で支援(店舗を指定して応援)
【2】「食事券購入なし」の支援(柏市の飲食店参加店舗全体の応援)

【1】に関しては、「10%お得な食事券」となっている。このリターンを決める際、「10%を還元するのはどうなのか?」という話し合いが行われた。なぜなら、今回のクラウドファンディングの目的は、「柏市の飲食店の支援金を集めること」だ。たしかに、お得なリターンは支援してくれる人が増える可能性もある。しかし、売上の負担に繋がるようなリターンはいかがなものだろうかと、頭を悩ませた。

ところが、飲食店の方たちから「応援してもらえるのなら、10%であれば良いのでは?」という意見が自然と出たそうだ。

結果、【1】のリターンでは、かなり多くの支援者が集まっている。各リターンで300名以上、多いリターンでは800名以上の支援者を募ることに成功した。


一番支援者を集めたリターン

〇 街ぐるみのプロモーション

今回のプロジェクトは柏市の飲食店を応援することが目的のため、柏に縁(ゆかり)の企業や個人へもターゲットを設定していた。

そのため、チラシとポスターを制作して、参加店舗に設置した。

ほかにも、各飲食店や実行委員会の方たちのSNSに情報を発信や、柏市役所やかしわインフォメーションセンターのHPに情報を掲載した。市がプレスリリースを掲載したことで、テレビ局を含めたメディアからの問い合わせに繋がり、全国的に情報を広げられたのは大きなメリットだった。

また、メディアの取りまとめを実行委員会の一員でもあるかしわインフォメーションセンターのセンター長の藤田とし子さんが担当。取材時の仕切りや、活動の見せ方などを一本化し、適切にプロジェクトの情報が行き渡るような仕組みづくりに成功した。

〇 参加事業者との小まめなコミュニケーション

4月5日の時点では124の店舗が、最終的には258の店舗が参加している。

多くの店舗が参加すれば、それだけ注目も集まる。また、市が一丸となって活動していくことは、心強さを感じるといったメリットもある。一方で、多くの店舗が参加するからこその課題もあった。

こういった取り組みを実施する場合、事前に説明会や相談会などを開催するのが一般的だろう。しかし、コロナ禍により多くの人が一堂に会するのは不可能だった。

そんな状況下で、どのように258もの事業者へ理解を得ていったのかを伺うと、「対面以外でのコミュニケーションを小まめに取っていった」と語る。

基本的なやり取りはメールだ。プロジェクトの説明だけでなく、プロジェクト実施の際には目標金額達成時や、どれくらい支援が集まったかなど細かい現状報告を。また、クラウドファンディング終了後にも、リターンの説明や注意事項などの逐一説明をしていた。事業者からの質問には都度メールや電話で対応したという。

―——

このように、当事者である飲食店だけでなく、全面的にバックアップした柏市役所、メディアに強いかしわインフォメーションセンター、第三者の視点を持ったフィルズリンクスと、柏市全体で取り組みを実施。結果、目標金額の300万円を大きく上回る44,716,880円もの支援総額を達成した。

多くの柏市民から支援を集めることに成功

支援者の多くは、柏市の市民だったという。
また、クラウドファンディングは若い世代の利用者が多い印象があるが、本プロジェクトでは一番多い年齢層が40代(約1,170人)に続いて、50代(約1,130)、30代(約700人)、60代(約500人)と年齢層が高めだった。「お店を長年愛用してきた人たちだと思います」と舟山さん。そして、「ここまで集まるとは…」と驚きを見せていた。

「同じようなプロジェクトがほとんどなくて、目標金額の300万円もこれでいいのかな…と。参考にした北海道の飲食店のクラウドファンディングは目標金額が1,500万円だったため、市でやるならこれくらいかなと考えて決めた数字で。ふたを開けてみたら、想像以上の支援が集まっていて驚きました」

多くの支援への喜びを語るとともに、クラウドファンディングを実施して感じる大変さについても触れた。

「リターンの食事券を4,000近く発送することや、食事券の使い方を理解していない方へ連絡を入れること、クレーム処理などもありますし……終わってからの作業が大変でした」

クラウドファンディングはあくまでもプロジェクトを進行していく上での資金調達に過ぎない。そこからの取り組みこそが本番と言えるだろう。そういった表面上ではなかなか目に見えにくい大変さを、今回のクラウドファンディングで知ることができたと舟山さんは語ってくれた。

共感を呼び、賛同してくれた人の応援で資金調達に結びつく

最後に、自粛期間が終わり、これから経営の立て直しを考えている飲食店の方たちに向けて、クラウドファンディング活用のアドバイスを伺った。

「クラウドファンディングは資金調達をするツールではありますが、お金儲けのためのツールではありません。共感を呼んで、そこへ賛同してくれた人が応援する。何のためにやるのか、集まったお金を何のために使うのか、目的を見定めなければ、ただ実施しても支援は集まりません。いまこういう状況だけど、今後こんなことをしていきたい、こういう商品をつくっていきたいと知恵を絞ることが成功に繋がると感じています。

会社経営をする上で理念があるように、プロジェクトにも理念は重要です。また、クラウドファンディングで資金が集まれば集まるだけ、手数料も作業費もかかります。そういった点も念頭に置いて、実践してみてください」

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阿部 裕華

取材好きなフリーライター/編集者。WEBメディア中心に編集・企画・進行管理(たまに撮影・デザイン)もやります。アニメ・コンテンツビジネス・映画・音楽(主にBUMP)が大好きです。

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