実施事例

支援者1000名超!しっぽのついたクッション型セラピーロボット『Petit Qoobo』プロジェクト成功の秘訣

ユカイなプロダクトを生み出し続けるユカイ工学がCAMPFIREの「BOOSTER」を活用してクラウドファンディングを実施した。しっぽのついたクッション型セラピーロボット『Qoobo』の新しい仲間、『Petit Qoobo』のプロジェクトだ。プロジェクトページ公開後わずか43分で目標金額の50万円を達成。現在の支援額は目標金額の倍である1000万円を突破し、支援者は1000名を超えている。

ユカイ工学はクラウドファンディングが流行る前の2015年から「Kickstarter」を活用してさまざまなプロダクトを世に送り続けてきた。そこで、同社がプロダクトづくりに込めている想いと、クラウドファンディングを成功に導く秘訣について、代表の青木俊介さんとPRの青井美佳さんから話を聞いた。

プロジェクトデータ

プロジェクト名 まるで生きもの?撫でるとしっぽを振るロボットにプチサイズ登場!音にも反応!
プロジェクトの目的 資金調達、新規ファンの獲得
募集期間 2020年3月27日(金)〜5月10日(日)
支援総額 13,359,080円
支援者数 1330人
プロジェクトURL https://camp-fire.jp/projects/view/228513

「人の生活をユカイにする」プロダクトづくりに込めた想い

ユカイ工学は「人の生活をユカイにする」をコンセプトに、人と共に生活するロボットづくりを目指している。これまでも、さまざまなロボット技術を使ったプロダクトをつくり続けてきた。

例えば、家族をつなぐコミュニケーションロボット『BOCCO』や脳波で動く猫耳型コミュニケーションツール『necomimi』など、コミュニケーションにまつわるプロダクトばかり。ただ便利なだけでなく、「便利な中に心が満たされること」が同社のプロダクトの重要な要素なのだ。

しっぽのついたクッション型セラピーロボット『Qoobo』とは

『Petit Qoobo』の前身となる『Qoobo』のアイデアが生まれたのは2017年3月。ユカイ工学が年に1度実施している全社員参加のメイカソン(プロダクトの企画、開発、発表)「ユカイ合宿」でのこと。「疲れて家に帰ったとき、癒しの存在が家にいてくれたら…」そんな想いが始まりだった。

青木俊介(以下、青木):アイデアを出した元弊社デザイナーの高岡は実家でたくさんの犬を飼っていたのですが、東京での一人暮らしでは飼うことが難しかった。そこで、一緒にいて癒されたり楽しくなったりするようなプロダクトとして『Qoobo』のアイデアを生み出しました。

『Qoobo』は、動物の“しっぽ”に着目し、撫でるとしっぽが揺れる仕組みを取り入れている。実際の動物のしっぽを研究し、動きを再現するプログラムの開発を実施。また、膝に乗せたり抱き上げたりしたときの大きさ・重さ・触り心地にこだわり、本物の動物に近づけるといった工夫が施されている。

2017年10月に開催された「CEATEC JAPAN(現:CEATEC)」で『Qoobo』を正式発表し、米国メディアパネル・イノベーションアワードにて特別賞「Special Award Gadget Nation Award」を受賞した。さらに、同月に米国のクラウドファンディングサービス「Kickstarter」で資金調達を開始。目標金額5,000,000円に対し、12,000,000円を超える資金が集まった。

2018年11月に一般販売が開始され、日本だけでなく、アメリカ、韓国、香港、台湾を含め、約1年で累計販売数1.5万匹を突破。さまざまな事情でペットが飼えない人たちを中心に、多くの人へ癒しを提供し続けてきた。

『Petit Qoobo』の誕生は『Qoobo』ファンからの要望だった

そして、2019年7月に『Qoobo』の新しい仲間としてプロジェクトがスタートしたのが『Petit Qoobo』だ。

青井美佳(以下、青井):小さい『Qoobo』がほしいというユーザーのみなさまからの声が多かったため、小さいサイズの『Petit Qoobo』をつくろうとプロジェクトが始まりました。

新しいプロジェクトをスタートさせるにあたり、『Qoobo』では実現できなかった機能を『Petit Qoobo』には追加している。鼓動を表現する機能と音や声に反応する機能だ。『Qoobo』は積極的に撫でて反応していたのに対し、『Petit Qoobo』は側に置いておくだけでも反応したり、肌に鼓動(振動)を感じたりする仕掛けが追加された。

また、カラーバリエーションもファンから要望があった「ブラン(白)」が追加されている。ファンと共につくり上げたプロダクトと言っても過言ではないだろう。

プロジェクトページ公開後43分で目標金額50万円を突破

2020年1月に米国で開催されたコンシューマーエレクトロニクス見本市「CES2020」で、『Petit Qoobo』を初披露。国内外から注目を集め、さまざまなメディアに掲載された。

そして、同年3月に『Petit Qoobo』の資金調達を目的にCAMPFIREでプロジェクト実施を開始。これまでは海外のユーザーを意識していたことから「Kickstarter」を利用していた。しかし今回は、日本の消費者をメインに置きたいという想いでCAMPFIREを選択。

CAMPFIREで公開されたプロジェクト「まるで生きもの?撫でるとしっぽを振るロボットにプチサイズ登場!音にも反応!」は、目標金額を500,000円に設定。

プロジェクトページ公開からわずか43分で目標金額に達成。これには担当者の青井さんも「目標金額を弱気にし過ぎたかな……」と笑いながら当時を振り返った。代表の青木さんも開始直後に自身で支援をしようとスタンバイしていたという。

青木:僕自身も最初に支援しようと事前にスタンバイしていたので、1番乗りだと思っていたら、まさかの3番目くらいで(笑)。みんな早い!と驚きました。

支援の勢いはとどまることを知らない。プロジェクトページ公開から常に右肩上がりで支援が増え続けているのだ。

支援を集めるために取り組んだ2つのこだわり

プロダクト自体の良さはもちろんだが、支援が集まった理由として以下の2つが挙げられる。
1. プロダクトの魅力がダイレクトに伝わるページ設計
2. 既存ファンを巻き込む&盛り上げる宣伝
順に説明していこう。

1. プロダクトの魅力がダイレクトに伝わるページ設計

『Petit Qoobo』の最大の魅力である“癒し”のイメージを伝えるべく、「① 画像/動画」「② 文章」を特に意識したという。

① 画像/動画

ページTOPに動画を埋め込み、『Petit Qoobo』のしっぽの動きやサイズ感など、動きで可愛さが伝わるような演出を心掛けている。また、TOPの動画を見ないユーザーも一定数いると考え、本文内にはGIF画像を用意した。写真や動画の撮り方も意識したと青井さんは話す。

青井:写真や動画は博報堂協力のもと撮影を行いました。『Qoobo』の動画は私たち飼い主が『Qoobo』を見ているような目線です。しかし、『Petit Qoobo』の動画では飼い主の膝の上や枕元から『Petit Qoobo』が話すナレーションにし、『Petit Qoobo』から見えている目線で撮影しています。本物の生き物として捉えてほしいという想いから、撮り方を工夫しました。自分の家に溶け込んでいることを想像してほしいなと。

② 文章

プロジェクトページの文章は、読んでいるとあたたかさを感じる。本物の生き物を紹介しているかのような構成になっており、読み物としても癒しを得ることができた。実際はロボットというプロダクトであるものの、「ロボットとして接するのではなく生き物として接してもらいたい」そんな想いが込められていた。

青井:例えば、ロボットだと一台や一個と数えると思いますが、そこはあえて“一匹”と表現。命あるものとして一緒にいてほしいと考え、温度感を意識して書きました。

ほかにも、『Petit Qoobo』へ命を宿らせている開発風景の写真や説明も。生き物の誕生が再現されているように感じる。プロダクトに対する愛が詰まったページの設計だ。

2. ファンを巻き込む&盛り上げる宣伝

「① クラウドファンディング開始前」と「② クラウドファンディング開始後」に行っている。

① クラウドファンディング開始前

2019年10月、『Qoobo』のファンミーティングを開催。このとき、『Petit Qoobo』のプロトタイプをお披露目していた。ファンの反応や意見を開発に取り入れたそうだ。

2020年2月頃、既存ユーザーへ向けて、メルマガでクラウドファンディング実施を案内。

クラウドファンディング開始直前には『Qoobo』ファン限定のFacebookページでリターンを公開して感想を募ったり、公開する動画を一日早く視聴してもらったりしたそうだ。

さらに、新規ユーザーを獲得するためにTwitterを活用。プロジェクトページを公開する5日前からカウントダウンとして『Petit Qoobo』の写真を毎日Twitterにアップ。それらのツイートに反応した人をフォローした。

青井:少しでも『Petit Qoobo』に反応してくれる人は片っ端からフォローしていきました。アカウントに気づいてくれた人がプロジェクトの存在に気づいてくれることも。意識してもらえるような種蒔きをしてきました。

② クラウドファンディング開始後

クラウドファンディング開始後、本来は渋谷パルコ1Fの「BOOSTER STUDIO by CAMPFIRE」にて『Petit Qoobo』の展示をする予定だった。しかし、新型コロナウイルスの影響で止む無く中止に。ほかにもイベントやお出かけ動画などをアップする予定だったが、困難な状況になってしまった。

そこで、代わりに実施したのが、Instagramでのインスタライブだ。『Petit Qoobo』にまつわる質問をファンの方から事前に募集し、ライブ配信で回答していった。

https://note.com/ux_xu/n/nfa955a885476

ほかにも、GIGAZINEやロボスタといったメディアに『Petit Qoobo』のプロトタイプ版のレビュー記事を書いてもらう取り組みも行った。

実際に触れて魅力を感じることはできないが、できる限りリアルイベントを補う形でファンに『Petit Qoobo』を知ってもらうための施策を取り入れたのだ。

これらの活動が影響したのだろう、支援者には『Qoobo』のファンや『Qoobo』の存在を知っていた人たちが多くいたという。

青井:『Qoobo』は大きいからと諦めていた人が支援してくださって。また、『Qoobo』を知らなかったけど、これらの活動の影響で知ったという方もいました。しかも、『Petit Qoobo』が家に来る前に『Qoobo』をお迎えしてくれることも。新しいファンが増えたと実感しています。

クラウドファンディングは新しいファンを集められるプラットフォーム

ユカイ工学がクラウドファンディング実施の背景には、“新規ファンの獲得”も目的の一つだった。既存ファンを巻き込んだ宣伝をしたことで、これまでファンではなかった人への認知も獲得できている。

代表の青木さんは最後にクラウドファンディングのメリットについてこのように述べた。

青木:既存ファンの盛り上がりをつくると同時に、盛り上がっている様子をいままで『Qoobo』を知らなかった人にも伝えることができる。クラウドファンディングは新しいファンを集められる素晴らしいプラットフォームだと思います。


まるで生きもの?撫でるとしっぽを振るロボットにプチサイズ登場!音にも反応!
しっぽのついたクッション型セラピーロボット Qooboに、ひとまわり小さい「Petit Qoobo(プチ・クーボ)」が誕生しました。いつでも連れて歩ける Petit Qoobo は、短いしっぽを一生懸命にたどたどしく動かし、日常や人の心にもっと寄り添い、癒しを届けます。

阿部 裕華

取材好きなフリーライター/編集者。WEBメディア中心に編集・企画・進行管理(たまに撮影・デザイン)もやります。アニメ・コンテンツビジネス・映画・音楽(主にBUMP)が大好きです。

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