実施事例

消失した首里城を救いたい、Jリーグクラブ「FC琉球」のクラウドファンディングへの挑戦

2019年10月30日未明に発生した火災で、正殿が消失してしまった首里城。貴重な文化財であり、沖縄のシンボルでもあった首里城の消失に、大きな衝撃を受けた人々も多い。そんな首里城の再興を願い、沖縄を拠点とするJリーグサッカークラブFC琉球がクラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/view/226739)を開催。2020年1月16日から2月18日までの約1カ月間で約1200万円を集める成功をおさめた。成功の秘訣や、プロジェクトに込めた思いをFC琉球 広報の宮田卓弥氏に伺った。

ホームタウンで起きたシンボルの消失

――まず、FC琉球というサッカークラブについて教えてください。

宮田:FC琉球は、沖縄発祥のサッカークラブチームです。2003年に創立され、2006年から2013年まではJFL(日本フットボールリーグ)で戦っていました。Jリーグに参加することができ、J3では2018年に年間無敗で初優勝。現在はJ2に所属しています。モットーは「攻撃的なサッカー」で、攻めの攻勢を得意としています。昨シーズンJ2では14位でした。

――今回、クラウドファンディング実施に至った背景を教えてください。

宮田:会長の倉林の発案です。沖縄で初めて生まれたプロサッカークラブなので、沖縄のために、サッカークラブとして何ができるかを模索し始め、クラウドファンディングの実施に行きつきました。沖縄のシンボルを復興させるために、力を注ぎたいと思ったのです。

私自身は、当時はまだ仙台におりましたが、テレビを見ていて「これは大変なことが起きた」と思いました。遠く離れた東北であっても、どこに行っても首里城復興の復興金が募られている状態です。しかしお金があっても修復技術と修復に必要な期間が必要ですので、簡単なことではありません。

誰のために、何の目的でやるかが大切

――1000万円超という大きな金額が集まりましたが、成功の秘訣はどこにあると思われますか。

宮田:まず、成功には誰のために、何の目的でやるかが大切だと思っています。そのため、まずはクラブの思いを共有して、プロジェクトを見てもらうことを意識しました。

私たちのケースで言えば、まず誰のために、は「首里城のために」しいては「沖縄のために」ですよね。そして目的はもちろん、クラウドファンディングを通じた首里城復興のための資金調達なのですが、達成するためには、クラブの思いをインターネットを通じて皆さんに知っていただく必要があります。共感できる仲間を、ネット上にたくさん増やす、というイメージですね。

――なるほど。クラウドファンディングもだいぶ認知されてきた昨今ですが、様々なプラットフォームに多数プロジェクトが存在する中で、どのように仲間を増やす、共感を募ることができたのでしょうか。

宮田:はい、まず考えたのは、間口を下げることです。「首里城復興を支援したい」となったとしても、どこに、どうやって手助けしていいか分からない。そう思われる方も多いのではないかと思うんですよね。例えば、私のように遠く離れた東北地方などにいたとして、募金箱などを見かけてそういう思いに駆られたとしても、その募金がいつ沖縄に届いて、首里城のどの部分の復興に使われるか、というとなかなか追跡することは難しいと思います。なので、どうしても二の足を踏んでしまうケースもあると思います。

その点、もしそういう思いに一瞬駆られた人で、サッカー好きだった方がクラウドファンディングを目にされると、アクションを起こす確率が高まると思います。「チームが動いているんであればそこを通して支援しよう」という気持ちになり、ハードルが下がるのではないかと。そこが我々の狙いでもありました。

――SNSの活用について工夫した点はありますか。

宮田:とにかくサポーターの方にしっかり応援していただき、ラストスパートでもさらに盛り上がろう、ということを心がけました。リターンも終了間際に追加しました。一部品切れになってしまったリターンがあったので、5000円で限定の「SAVE SHURI CASTLE Tシャツ」にゴールドとシルバーを追加しました。

デザインは、チームのユニフォームで首里城イラストをデザインされた城間英樹さんにお願いしました。デザインについては「今回の火事で残った二本の龍柱の(強さ)を象徴的に見せるため両サイドに配置した。そして首里城がまた、新たに輝きを取り戻すイメージを表現するため、センターから外側に光り輝いているようにし、FC琉球の今回のキャッチフレーズである【REVIVE】へリンクするように意識した」と聞いています。

――SNSの活用についてはいかがでしょうか。

宮田:GoodMorningの担当者さんにアドバイスいただき、SNSには特に力を入れていました。カギはやはり、選手をいかに巻き込むか、だったと思います。チームの公式SNSから拡散するだけよりも、選手自身の言葉でツイートしたりシェアしてもらったほうが、ファンの方には一番共感していただけます。

ただし、文章や拡散時間まで強制してしまうと逆に「やらせ」に見えてしまいかねませんから、ある程度選手の自主性に任せました。SNSの使い方も、選手によって様々ですしね。自分のツイートが苦手な選手だったら、公式アカウントのリツイートをしてくれるだけでもいい。そうやってハードルを下げていきました。

――他のサッカーチームやスポーツ団体に、クラウドファンディングをお勧めされるとしたら注意点はありますか。

宮田:今回のプロジェクトは県民の思いに共感しやすいものだった、という点が成功のカギだったと思っております。自分たちの思いや熱意を本当に全面に出すことが大切です。フロントだけではなく、当事者、つまり選手たちが同じ思いをもって、同じ熱量で取り組むことが大事だと思います。サポーターやファンは、選手のファンでもあります。自分が応援しているプロジェクトだから一緒にもりあげたい、そこに共感や思いが集まるわけです。

また、他のチーム、例えば清水エスパルスの公式アカウントや湘南ベルマーレのサポーターも今回の取り組みを応援して下さいました。もしこれが、自分のチームのメリットにしかならない内容、例えば活動資金だとか、スタジアム設立費などを募るプロジェクトだったら、応援してくれるのは自分のクラブのサポーターだけだったかもしれません。公益性があったからこそ、ファンや他クラブも含めたサッカー界一丸となって取り組めたのだと思っています。

――最後に、今後の抱負があれば教えてください。

宮田:首里城の消失が昨年10月末のことでした。当時はテレビなどで話題になりましたが、年明けはなかなかテレビでも取り上げられることがなくなってきました。もちろん新型コロナウイルスの流行など、報道しなければならないことはたくさんありますし、様々なイベントの中止なども起こっています。東京五輪の実施も揺らぎつつあり、人々の意識がそちらに向いてしまうのは仕方がないことです。もともと、沖縄は地理的に距離が離れているエリアでもありますし。

ただ、沖縄の人々にとっては、今も心のシンボルが消失したまま、という点は変わりません。FC琉球が首里城復興に関して活動を続けることで、このことを忘れられないようにしたいのです。確かに大変な世の中ではあります。そして、消失という悲しい出来事があった事実は変わらないけれども、今後もいろいろな人たちを巻き込んで、首里城が復活するその日まで、人々の心から首里城が忘れられないようにしていきたいですね。

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